用途 :住宅
所在地 :秋田県秋田市
構造 :木造軸組構法
階数 :地上3階建+平屋建
敷地面積:246.95m²
建築面積:61.11m²(8.11+52.99)
延床面積:75.01m²(22.02+52.99)
竣工 :2021年10月
構造設計:円酒構造設計
写真 :Yurika Kono
作品詳細
9層の床を持つ“塔”と、半室内的な“東屋”。
二棟でひとつの住宅である。
塔は“住宅の機能”を、東屋は“住宅の余白”を、それぞれ担っている。
限られた予算で空間のコスパを最大化するため、小さくてもいいところは不自由ない程度にとことん小さく、広くしたいところはとことん広く、というふうに極端に計画することにした。
住宅の機能を担う棟は、建坪四畳半の“塔”。
身体寸法や動作寸法の厳密な検討により、置くべき家具はすべて建築に埋め込んで段差化し、きわめて効率的に凝縮した。
ベンチ、テーブル、タンス、違い棚、ソファ、洗面台にそれぞれ足を掛けて登り、最上部の就寝地へ至るというように。
空間を組み立てるというよりはむしろ、家具を積み重ねてそれをよじ登っていくようなイメージで“塔”は構成されている。
一方、“東屋”は、機能から切り離された余白。
全延床75平米のうち53平米、約7割をこの棟が占める。
予算の許す限り大きく、簡素に、半屋外的に過ごせる空間とし、機能の方とはきっぱりと棟を分け、家の中の別荘のような居場所とした。
特定の機能を持たない、用途のない只の広間である。
外周の半分を開口とすることで、外部空間と交わりつつも、適度に囲われた快適な居場所となる。
風が抜け、木の葉がゆらめき、ゆったりとした時間を過ごすことができる。
ふたつの棟は、それぞれ全く異なる性質を持ちながら、ひとつの家として相互に補完しあう。
渡部 光樹 渡部 梨華
W(ダブリュー)
東京都 秋田県
HP:https://www.w-architects.jp/