春は桜で有名な目黒川がある中目黒駅から徒歩４分。閑静な街のマンションの一室に事務所があります。お邪魔すると、椅子や風神雷神、トトロまでバラエティ豊富なオブジェが並んでいて、棚の上にはたくさんの模型、ドールハウスみたいで、とても手が込んでいらっしゃる！
建築家を目指したきっかけ
図画工作が好きな幼少期でした。美大に進学したいと思って、美術の恩師に相談したところ、建築学科を進められたので、美術と建築の両方を学べる筑波大学の芸術専門学群に進学しました。学生時代は伊東豊雄さんや谷口吉生さんなど有名な建築家のプロジェクトでアルバイトをした後、アトリエ系の設計事務所での修行を経て独立をしました。
独立後の最初の作品は、勤めていた設計事務所の先輩の知人の住宅でした。場所はつくば市のみどりの駅近く。スキップフロアの住宅で1階から2階までスパイラル状に繋がっていて、風と光が通り抜けるので、とてもエコロジカルな住宅になりました。ちなみに、お施主様や関係者と近々竣工10周年記念の食事会が予定されています。
設計で心がけていること
コンセプトはシンプル＆エコです。約10年前の東日本大震災の時に、計画停電などのエネルギー危機に直面し、身をもって体験したことで、自分で何ができるか考えるようになりました。住宅や個々のプロジェクトをエコロジカルなスペックにすることで、空間の快適性も高まり、環境貢献に繋がればと思い設計しています。
また、密集した都市ではどのようにして、快適にエコロジカルに暮らせるライフスタイルを提案できるかということも考えています。都市型のエコハウスでは、防火等の法律規制で自然素材を使用することが難しいケースが多いです。また、市街地では日当たりが悪いことも多く、日射取得や採光、通風に工夫しながら、都市環境にフィットするシンプルでエコロジカルな住宅を実現し、環境貢献していきたいです。
模型への拘り
お客様は30～40歳ぐらいの方が多いです。設計期間は8ヶ月程度で、打合せを重ねながら、お施主様と楽しんでつくっています。必ず模型を作り、立体の状態で情報共有し、1個1個の過程で模型を提出するため、1作品で複数の模型が出来上がります。最初の作品では、最終的に模型が10個以上も出来上がっていました。打合せでお施主様に色々提案したときに喜んでいただけて、最終的に建物が建って、満足している姿を見たときはとても嬉しいですね。自分が時間を掛けただけ、お客様からの反応がダイレクトに伝わってくるので、とてもやりがいのある仕事です。
編集後記
美術と建築の二刀流から生まれるセンス溢れる模型がとても印象的でした。
また、環境問題に真摯に向き合い、設計に取り組む姿は、グローバル社会においてもスタンダードな設計の考え方として定着していくことを強く願いたいです。最近はロングライフな定番商品やサスティナブルやエシカルに配慮した製品を探して、生活の中に取り入れることに興味があるそうで、それらは林さんのブログで度々紹介されています。未来の子供たちや地球のために、これからも建築だけでなく、エコな情報発信をお願いします。
林さん、ありがとうございました。（廣瀬）
