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住宅をこよなく愛する建築家 浦木美樹子さん

 閑静な住宅街の一角に、周囲の住宅とは異なるオシャレな外観。中に入ると玄関に設計の作業机!一風変わった作りに驚きながら2階へ上がると、床壁天井、作り付けのテレビボード、カーテン、家具など、シンプルでスタイリッシュな空間。当日はとても寒い日でしたが、部屋も暖かく、暖房が付いてないというから、更に驚きながら、取材を開始。

建築家を目指したきっかけ
 子どもの頃から折り込みチラシや不動産屋に貼ってある間取りを見て、この住宅だったら私の家族はこのように住んで…と想像するのが好きでした。ある時期からは、住宅に関心のある友人から建もの探訪の話を聞いて、録画して観るようになりました。住宅好きが高じて、大学では建築学科を専攻、授業では特に設計製図や模型づくりが楽しく、先生から「プランニングになると力が入るね」と言われていました。周りの生徒たちが都市計画や大きな建物に注目する中でも、私の興味は常に住宅で、平面計画や家事などの生活導線、LDKの在り方について勉強をしていました。

 大学卒業後はゼネコンやアトリエ系の設計事務所で経験を積みました。住宅は限られた土地や予算、法律、お客様の千差万別のご要望を細部にまで目を配りながらパズルのピースのようにはめていきます。そのピースをはめていくことがとても楽しく、住宅設計に特化した建築家になりたいと思い、出産を機に独立しました。

住宅設計のこだわり
 季節に応じて住宅に求める要望は変化するため、なかなか難しくありますが、設計期間は1年程度あった方が良いと思っています。建物の美しさは大前提とし、普段から心地よくいられる家を考えています。デザインや構造、設備などのたくさんの要素がある中で、複数のことを合理的且つ同時に解決する答えが出せるように心がけています。例えば、菰野の家では、南側の開口部に大きな庇を取り付けることで、夏の日差しや雨を遮る効果だけでなく、建物の強度を増すための耐風梁の役割も担っています。他にも菰野の家では家の屋根を大きくして、その下に車が停められるようにし、分けて考えられることの多い建物の外構を一体にデザインしています。外観の統一感だけでなく、カーポートを別に設置する必要がないので、外構費を抑えることができます。また、建て替えの場合、これまでの近隣とのつながりを大切に、引き続き地域に受け入れられる周囲と調和のとれたデザイン等とすることを心掛けています。

作品について
 独立後、最初の作品は「市原の家」です。定年をきっかけにこの地で住み続けるのか迷っていたお客様が、地縁を大切にされたいと決断され、35年程経った木造住宅の建て替える案件でした。遊びに来るお子様家族と一緒に過ごせて、将来を見据えて1階はバリアフリーにしてほしいとのご要望。1階だけで生活が完結出来るプランにし、屋根形状を活かしたロフトのような空間を設けて、来客の宿泊や普段はお昼寝ができるように提案しました。また、その土地の特性を生かし、緑豊かな庭のある南と公園で開けた北に大きな窓を設けることで、風が通り眺めの良い快適な空間を演出しました。
 浦木さんの設計は1作品目から、合理化を大切に設計されています。

お客様との関係性
 お客様には共感と客観性を大切にしています。強い拘りを持っているお客様が多く、お会いして長年の思いや要望をお伺いすると、住宅好きの私は一緒に共感できることが多くあります。その中でも専門的な部分は客観性を持って冷静に意見し、より理解を深めてもらいながら、十分に悩んで考えて、納得したものを一緒に作っていきたいです。そのように時間を掛けてつくった後に、お客様から設計から施工の期間も凄く楽しかった、建てて良かったと言っていただけるとこの仕事をしていて良かったと思います。実際にお住まいになって、窓の納まりや巾木、エアコン、コンセント、スイッチなどの細かいところを、「だからこの位置で、このデザインにしたのか」と日々の暮らしの中で発見してもらえると設計士冥利に尽きます。

これから目指していること
 環境配慮の観点から、太陽光発電や省エネ、耐震等級などの要求レベルが上がってきている中で、その必要性をお客様にお伝えし、規模は小さくとも、未来に向けて何ができるかを共に考えて作っていくことが重要だと思っています。また、超高齢化社会に進みゆく中で、ニーズに的確に応えることができるよう、福祉住環境コーディネーターの資格を取得しました。

編集後記
 本当に住宅がお好きで、1軒1軒に愛情を持って、設計されていることが伝わってきました。浦木さんの建築はまさに合理的!お住まいになった後のことを考えられた、数ある仕掛け。細かいところまで行き届いた浦木さんの技と優しさを沢山お伺い出来ました。
 環境や自然災害にも真摯に取り組み勉強され、地球環境に配慮した日本建築へ変革にご尽力頂きたいです。
 浦木さん、ありがとうございました。(廣瀬)

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