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地震大国日本と建築の未来を考える建築家 山本想太郎さん

 取材前にホームページを拝見すると住宅だけでなく、美術館やお寺、オフィスビル、書店など様々な施設も手掛けられていて、種類豊富。それに留まらず、気になるアート作品がチラホラ、アーティストとしても活躍!その幅広い活動内容が気になりながら、取材を開始しました。

建築家を目指したきっかけ
 小学校の頃、国立代々木競技場体育館を見て、素晴らしい建築物だと感動をしたことを覚えています。その後、早稲田大学理工学部建築学科に進学。卒業後は坂倉建築研究所に就職、規模の大きい建物を複数担当し、12年後に独立をしました。
 独立後は、様々なご縁から設計のご依頼をいただきました。中でも新潟県の十日町で、3年に1度開催されているアートトリエンナーレ大地の芸術祭には、複数回参加。足湯をつくるプロジェクトで応募し、採用されたのがきっかでした。その後、空き家プロジェクトで改修工事の設計を30件以上担当し、様々なアーティストとのコラボレーション作品があります。東日本大震災で倒壊した建物では、建て直しプロジェクトを企画、オーストラリア人の建築家に設計協力した作品は、その後オーストラリア建築家協会賞を受賞しました。

設計へ拘り
 お客様が望んでいることに対し、専門的な知識や経験を活かして、将来を考慮した家づくりをしています。地震大国日本において、建築で人が亡くなることを減少させることが建築家の使命であると考え、耐震診断士資格も取得しました。耐震の観点から、条件的に可能な場合は躯体は鉄筋コンクリートをお勧めしています。また、鉄筋コンクリート造は遮音性や耐火性にも非常に優れていて、密度が高い都市部では特に有効です。コスト高や改修工事が制約を受けることなどの懸念事項もありますが、是非ご検討していただきたいです。
 また、化学物質対策も需要なテーマとしています。近年、世界的な化学物質過敏症の患者数の増加は著しく、今後、建築にとどまらずあらゆる日用品にとってその対策が重要なテーマとなると考え、いろいろな素材を研究しています。

お仕事のやりがい
 設計することが楽しく、様々なプロセスの中で、新しいものを生み出すことがやりがいです。近年では3Dプリンターで建物をつくる技術があるように、設計の仕事もAIが担う時代がきて、建築の概念が変わってくると考えています。また、空き家をリノベーションする需要が増加していて、オンライン会議やSNSの配信などプライベートな空間が社会的になった今、家を新しく建てることに価値が見いだされるのではなく、プライベートな空間のインテリア性の高さや価値が重視され、建築家はそういった新しい価値を生み出す創造性を研ぎ澄ましていくことが需要になっていくのではと思っています。これからも時代の変化に対応しながら、設計を続けていきたいです。
編集後記
 地震大国の日本ではどのような建築が必要とされるのか、山本さんはその答えの一つとして鉄筋コンクリートを提唱されています。山本さんの事務所兼自邸は幹線道路沿いに建つ鉄筋コンクリート造です。お話をお伺いしている間もとても静かで振動等は全く感じることがありませんでした。耐震性を重要視されている方は是非一度山本さんのHPをご覧ください。そして最後にご自身の建築知識を後世に残すために書籍の出版を予定されているとのお話をお伺いし、志の高さに感銘を受けました。
 山本さん、ありがとうございました。(廣瀬)

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