本日の取材は、学問の神様として有名な菅原道真を祀る湯島天満宮の坂下、古き良き街並みの中に、歴史ある重厚感で落ち着いた建物の一室にお伺いしました。部屋の中からは、蟻川さん、村田さんがリノベーションされて住まわれているマンションも見えました。
建築家を目指したきっかけ
蟻川さん:
中学生の時、自分でテーマを設定し、それを調査して発表する授業があり、当時、長野県の善光寺の傍に住んでいて、門前町にある昔ながらの建物の看板に着目しました。木彫りの看板には文字が漆で塗られていて、数十年も経過しています。一方、少し歩いた先には近代ビルにネオン看板。このギャップが面白く、この頃から街並みに興味を持ち始めました。
絵を描くことが好きで、デッサンの試験もあった法政大学に進学。
卒業後、金沢の海みらい図書館に訪れた時、吹き抜けで外のような開放感のあるワンルーム空間に感動し、手掛けたシーラカンスK&Hに連絡。飛び込みでアルバイトさせていただき、その後就職。保育園や福祉施設、学校など大型な施設のプロジェクトを担当し、村田と一緒に独立しました。
村田さん:
幼少の頃、レゴブロックで家をつくり、勉強机の引き出しの中は人形の部屋に見立て、間取りやインテリアを考えて遊んでいました。高校生になり、家の近くの多摩美術大学の学生がドラフターケースを持つ姿に憧れを抱くように。建築学科は大変と聞いていましたが、だからこそ挑戦したいと思い、法政大学に進学。
就職するまでの準備中、東北日本大震災が発生し、このまま普通に就職していいのかと悩み、震災復興に携われる設計事務所を見つけて、アルバイトをした後、住宅を中心に設計するスタジオA建築設計事務所に就職。お客様やスタッフとコミュニケーション取りながら考え、設計していく中で、この仕事をしていて良かったなと思うようになりました。
独立後6年程、別の設計事務所で週2~3働き、法政大学の教育技術員として従事、現在はお蔭様で当社のお客様に全力で向き合うことができています。
住宅設計の拘り
蟻川さん:
お客様は知人や工務店からの紹介や友人が主です。最近はTV番組辰巳拓郎さんの家物語に1作品が3回紹介されました。
設計の拘りについて、道をつくることに焦点を当てています。1つ目は個人住宅を設計する中で、お客様にヒアリングをすると、漠然としたイメージや短編的な要望を伝えてくださり、それを十分に汲んだ上で、つくりたいことの道筋を共につくること。2つ目は生活動線で、住まいの豊かさが変わると考えていて、部屋の使い方や人の行動から空間を考えると共に廊下や階段周りのプランを工夫。人が通る道である動線に拘り、今後も突き詰めていきたいです。
村田さん:
住宅をメインに依頼があり、全てのプロジェクトに対して2人で取り組んでいます。私は細かい寸法を見ること、蟻川はアイディア出しや法規など、それぞれの得意分野を活かし、お互いに意見を出し合って進めています。
お客様には些細なことや難しいことでもなんでも相談していただき、一緒に悩みながら解決していき、頼られる存在でありたいです。
お仕事のやりがい
蟻川さん:
自分の意志や思想を現実世界に実現し、数十年単位で残すことができることです。遺作として建物は残り続けられる、それができるのは建築家だけでないかと思います。
村田さん:
お客様にお会いして、その方の要望や住み方、使い方など人それぞれ違って、新たに発見しながら考える過程、そして新しい家ができてその空間を見られることがやりがいです。
これからの目標
蟻川さん:
2015年に独立し、実績も増えてきたため、更に質の良いものにしていきたいです。例えば、これまでの経験からリノベーション物件は床や天井、間取りの変更に予算が取られ、断熱性能まで上げられないことが殆どでしたので、その重要性の訴求と採用を高めていきたいです。また、空間をトータルプロデュースできる案件を増やして、既製品の家具ではなく、造作家具を設計して、お客様にその使用感や空間の良さを体感していただきたいです。
村田さん:
現在は住宅の新築やリノベーションを続けていき、色んな方にご利用頂ける公共施設や商業施設を手掛けていきたいです。今後、チャンスがあればコンペに挑戦したいと思います。
編集後記
年齢とは異なり、お2人共落ち着いていて、リノベーションした物件の販売や賃貸などの不動産業も営まれ、経営者としてもご活躍中です。蟻川さんと村田さんは大学時代からのお付き合いで、20年以上!お互いのことを理解しているからこそ、それぞれの強みを尊重し合いながら設計していただけるため、お客様の暮らしがより豊になるようご提案していただけます。
縁起の良い湯島天満宮の近くで、これからの目標を達成するべくご活躍も期待しております。引き続き、当社のサイトで作品を通して、ご紹介させてください。
蟻川さん、村田さん、ありがとうございました。(廣瀬)