作品詳細
荒尾市内の県道沿い。北側には田園風景を介し、遠くの山々を望むことができる。南側は裏山といった感じで比較的近くに山を感じることができる。周囲を山に囲まれた自然豊かな土地である。建て主の要望は、平屋建てであること、車を3台以上駐車できること、それ以外はある程度任せたいということだった。
最初に考えたのはこのロケーションの美しさを建物内に取り込みたいということだった。南側の近景の山と北側の遠景の山、性質の違う風景を繋ぎ、南北に視線が抜ける開口部を意識した。1歳の男の子を持つ子育て世代のため、家事・育児に配慮した動線計画とし、出来るだけストレスなく生活できる住まいを目指した。リビング続きの和室は小上がりとし、子どもの遊び場やお昼寝場所となっているが、仕切ることもでき、将来は客間としても機能する。LDKは屋根勾配をそのまま表し、和室や玄関と視覚的に繋がるダイナミックな空間とした。建て主から竹を使ってほしいというリクエストからリビングの天井や床の間などに竹を使用した。白黒の古民家を思わせるインテリアに加え、和の趣きを演出するのに一役買っている。内観外観共に昔からこの地にある建物ではないかと錯覚するような土地にフィットした住まいである。
建築地:熊本県荒尾市
家族構成:夫、妻、長男
用途:専用住宅
面積
1F:1F:103.51㎡(31.31坪)
松本 孝充
松本設計
佐賀県
HP:https://matsumotosekkei.com
一般的に建築家は自分が設計した家を作品と呼ぶが、私は自分が設計した家を作品とは呼ばない。そこには建て主の暮らしがあり、住まいは暮らしを営む器だから。建築家のエゴや第三者の評価ではなく、建て主自身が休日が待ち遠しくなるような、そんな居心地の良い家を設計したい。