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傍らでは役者?建築の全てを楽しむ建築家 磯村一司さん

 東京都品川区にある隣町珈琲での取材。こちらはカフェでありながら、音楽イベントや講座、パーティー等、様々な用途で利用できます。壁にはアートが飾られ、歴史や政治、哲学などの書籍が並んでいます。レトロでありながら、新しい形で提供されているこの場所で、取材を開始。

建築を目指したきっかけ
 美術が得意で絵を描くことやモノづくりの楽しさを感じていました。高校生の進路選択では、明確な目標はありませんでしたが、建築学科を選択。設計製図の授業は楽しく、時間を掛けて夢中で取り組んだため、成績も良かったです。
 しかし、建築のことをほとんど知らずに進学したため、周りの志の高い同級生に追いつこうと、知人を通じて、お茶室を巡るサークルに入って学ぶことに。京都で1か月間、修学院離宮などの古建築を見て、自身の感覚に調和し、魅了されました。そして、自身でサークルをつくり、千利休の直系の流派である三千家の庭から建物の中を見学する貴重な経験もしました。

 卒業後は水沢工務店に就職。当時はRCの住宅をメインに、高級料亭の茶室等、店舗の内装を担当、その後、転職し空間スタジオで修業。任されることが増えていくうちに、本当に楽しい仕事だと感じ、水沢工務店の同僚だった3人と独立しました。社名であるギルドは中世のヨーロッパで組織された同業者の団体を表し、色んな人と共に、面白いデザインを生み出していきたいと名付けました。  

住宅設計の拘り
 お客様はご紹介やホームページ、マッチングサイトで設計依頼があり、年齢は様々です。
 要望に寄り添った設計を主体として、私たちの考えや個性をどのようにして、提案するかを考えています。敷地の周辺環境、日差し、風遠し、断熱性など建築家として考えなければならないことが多いため、事務所のみんなと共同で案出しをして、膨らませることも強み。そして、何よりお客様と共に、家づくりを楽しみたいです。

お仕事もやりがい
 設計の全てが楽しいです。特に、プランがひらめいたときや、少しの工夫で良い変化が生まれた瞬間が訪れると、その度に感じます。そして、何もないところから、建物が完成した時にお客様に喜んでいただければ嬉しいです。
 散歩をしながら、建築物を眺めていると新たな発見があって、プライベートでも楽しんでいます。

断熱性能の実験
 十数年前、どこにいても暖かい家を要望にされたお客様がきっかけで、断熱性について、深く考えるようになりました。
 一般的に、冬は部屋の中で、体感温度を最低10~15度以上に保つために、必要な断熱性能を基準としています。先日、G1レベルという、中でも断熱性能が高水準の家で温度変化の実験をしました。場所は甲府で冬は氷点下。床下に敷き詰められた水袋が床下エアコンの空気で暖められ、蓄熱される仕組み。リビングとリビングの床下、洗面所に温度計を設置し、温度変化を観察。暖房器具は全てオフにした状態で家を空けたところ、数度程しか気温は下がらずに驚きました。         
 コストは高くなりますが、外気温に左右されず、最小限の冷暖房で快適に過ごすことができ、光熱費を抑えられるため、これからの時代にはおすすめです。

編集後記
 お仕事もプライベートも建築に囲まれ、全て楽しいと、とてもポジティブなお人柄が素敵でした。
 断熱性能については10年以上前から考えられ、実験結果から分かり易い説明をしていただき、ガス台や電気代が高騰している今、大変勉強になりました。
 なんにでも興味を持つという磯村さんは、以前、役者をされたそう。そして、7月28日~30日は舞台「さらば人間」で再出演!詳細は下記です。
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/020zvcy3mry21.html
 茶室のように、古き良きものを大切にしながら、果敢に新しいことに挑戦される磯村さん。まさに本日の取材場所にピッタリな楽しい取材となりました。
 磯村さん、ありがとうございました!(廣瀬)

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