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周辺環境を活用し内外の繋がりを大切にする建築家 原田 直実さん

建築家を目指したきっかけ
 小さい頃から、モノを作ることが大好きで森の中で枝を組み合わせて秘密基地をつくったり、常に何かを触っているような子どもでした。モノに触れるような仕事をしたいという気持ちから広島工業大学の機械科を卒業して機械関係の会社で働いていたのですが、視点を変えて新たな学びの場を求めていたところに出会ったのが、京都造形芸術大学の建築デザインでした。歴史、文化や民族性などのさまざまな環境が影響し、単につくるという行為でないことを知り、「建築を通じて社会に貢献したい」という気持ちがさらに強くなり、建築家を目指したのです。余談ですが、在学中に次男が生まれたりして大変なこともありましたが、今では2人の息子は大学生になり、妻と一緒に当時の出来事を笑って過ごしています。

住宅設計の拘りや心掛けていること
 建物を計画するときは、敷地の中だけで完結するのではなくその周辺の環境も含めた流れをつくるように心掛けています。
まずは自分でその場所に立ち、光の入り方、風の流れ、周囲の景色、植栽の配置などを考え建物のボリュームと内外の流れをイメージしています。狭いスペースでも、窓の配置やその先の外部との繋がりを考慮することで、図面以上の空間の広がりを感じることができるし、逆に広すぎるスペースには間仕切りを配置することで、その先の奥行き感をつくることができます。
建築をつくることは、その地域の街並みをつくることになり、その場所の文化をつくることに繋がるのだと思っています。建築家は、この地上にモノづくりができる貴重な仕事であると感じています。

お客様との関係性
 ホームページを見て作品を気に入っていただいてご依頼を受けています。住宅の場合は、ご夫婦からの要望をお聞きしながら、打合せを重ね予算に応じて建物のボリュームや仕上げ、設備などを計画していきます。特に奥様は、家事動線や使いやすさのことを気にされている方が多いので、これまでの施工事例の写真を見ながらエピソードを交えご提案させていただいています。

お仕事のやりがい
 建築をやり始めたときは、建物の大きさに圧倒されましたが、ひとつひとつの積み重ねであると感じていくようになりました。白紙の状態から、スケッチを描いて図面化していくことの楽しさと、建築として立ち上がっていくときの緊張感は常にあります。この建物が地域に受け入れられ、お客様に喜んでもらえた時の嬉しさは、何物にも代えがたい気持ちが込み上げてきます。

今まで設計された事例について
 敷地の周囲を見ながらスケッチを描いて、模型をつくっていくことでイメージが浮かんできます。そこからプランを起こし描き込むことによって、より現実的な綺麗な図面になっていくのです。このときのイメージは、建物内だけでなく内外の流れを意識した空間になっています。囲まれた壁に穴を開けるのではなく、自然に抜けるような空間を意識しています。M Houseは開く閉じるの関係ではなく、部屋が外の庭に繋がっているような錯覚する空間となっています。深い軒は、天井面と合わせることで内外の関係を曖昧にし、腰壁で囲まれたダイニングは、包まれているような居心地の良さを感じることができる空間となっています。ここでも余談ですが、グランピング好きなお客様は、M Houseに住み始めてから外に行かれなくなったという嬉しいお言葉も頂きました。

                                    M House 写真

編集後記
 お話をお伺いしていて、原田さん自身が本当に建築が好きで、イメージを形にしていくことにワクワクした気持ちを感じているのだと思いました。一度就職した後に建築を新たに学ばれたというお話を聞いて、「建築を通じて社会に貢献したい」 という信念がとても強かったのだと感じました。また、「 内外 」というお言葉を使われていますが、これには建物の内部と外部の流れをつくる設計上の構造という意味のほかに、建物とまわりの地域の繋がりという意味もあるのではないかと感じました。
原田さん、ありがとうございました。(飛髙)

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