作品詳細
敷地は文京区目白台。
目白台公園や細川肥後庭園、和敬塾、神田川の桜並木にほど近い緑豊かで閑静な住宅地です。
一般的には、道路に面する東南側が好条件であると言われます。この敷地も当てはまりますが、敷地の奥には大学が所有する芝生とテニスコートが広がり、その先には公園の木立が見えました。この景色をどう建物に取り組むかがプランニングの命題でしたが、思い切って南側ではなく北側にテラスを設置した結果、都内とは思えない豊かな広がりを室内に呼び込むことができました。
第1種高度地区に加えて、敷地の奥半分の地盤が道路から1mほど上がっていたため、通常の階高で構成すると最上階で「立てる」範囲が限定されます。そこで駐車場から奥を地下として下げ、その上階2層をスキップフロアとして3層のボリュームを収め、斜線制限の限界まで空間を使いきりました。
3階建てではなく地下+地上2階としたことで屋根の構造材を表しにすることが出来、結果としてクライアントの希望であった「ヴィラのような」空間が実現しました。斜線勾配そのままの構造材の連なりは、連続性と伸びやかさの強調を担ってくれています。
工事種別:新築工事
建築用途:専用住宅
家族構成:夫妻+子供2人
主要構成:鉄筋コンクリート造+木造(在来軸組工法)
階数:地下1階、地上2階
延床面積:147.2㎡(44.53坪)
施工:株式会社渡辺富工務店
竣工:2018年
写真:新澤一平
齋藤 文子
3110ARCHITECTS一級建築士事務所
東京都
http://www.3110architects.com
空間の質は、そこで時間を過ごす人の「心のありよう」に大きく影響を与えます。
整った空間プロポーションは安定感を、上質な素材は美意識を、季節や時の移ろいは豊かな生活リズムを与えてくれるものです。私たち110ARCHITECTSは「心が豊かになる空間」を提供したいと考えます。
建築設計とは、クライアントの夢や希望を建築用語に翻訳することです。その翻訳の過程は、より良い空間をデザインし、プロジェクトが滞りなく進むように指揮棒を振り、快適で安心、安全であるための技術的な検討を重ねるべきだと考えます。
私たちは、翻訳家であり、デザイナーであり、指揮者であり、技術者の集団であることを自覚し、クライアントの夢や希望に向きあいます。そして建築物はクライアントの財産であると共に風景の一部だと捉え、上質な建築を創り街並みに美しさを添えることが、私たち3110ARCHITECTSの役割であり、社会貢献につながると信じています。