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志太・組むの家

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作品詳細

敷地は静岡県焼津市。駿河湾にそそぐ瀬戸川近郊であり、地域にとっては「志太平野」として広域に親しまれている土地です。
「浮床ー生活の地盤を上げる」
「矩形の組み合わせ」
「中心のある形」
3つのコンセプトを端的に表現した言葉『組む』を前述の志太平野と融合させ「志太・組むの家」と名付けました。
建主は堅固な住まいを望みつつも、コンクリートの硬質さではなく和の柔らかさを好まれ、かつ先代から受け継いだ和風庭園を活かすことを望まれました。
そこで、組むという名の通りコンクリートの壁、スラブ、柱を組み合わさるように構成しつつも、質感の感じられる材料を内外に採用し、柔らかな表情を演出しました。また記憶や思い出を繋ぐ意味を込めて、和風庭園の位置をそのまま守りつつ内容を再構成し、将来の子世帯住居の建設スペースを駐車場の奥に確保し、建物は太陽の恵みを最大限享受できる北西に寄せて敷地全体をゾーニングしています。ただ、焼津は太陽に恵まれた土地であり、時に厳しい日差しをもたらします。そこで、深い庇と障子、夏の気温を遮断し冬の暖かさを包み込む外断熱工法と性能の良い住宅用ペアサッシ、空気の流れを生み視線を中心に集めるコの字のプランにより、住環境の性能向上を促しました。
組むという名の通り組み合わさるように構成した外観は力強い印象を与えてくれ、生活の地盤である2階のテラスは室内だけでは生み出せない空間の豊かさをもたらしてくれました。質実剛健という言葉がぴったりな、力強くも優しい住居です。

工事種別:新築工事
建築用途:専用住宅
家族構成:主婦+子供2人
主要構成:壁式鉄筋コンクリート造
階数:地上3階
延床面積:235.89㎡(71.35坪)
施工:株式会社橋本組
竣工:2017年
写真:新澤一平

齋藤 文子

3110ARCHITECTS一級建築士事務所
東京都
http://www.3110architects.com

空間の質は、そこで時間を過ごす人の「心のありよう」に大きく影響を与えます。
整った空間プロポーションは安定感を、上質な素材は美意識を、季節や時の移ろいは豊かな生活リズムを与えてくれるものです。私たち110ARCHITECTSは「心が豊かになる空間」を提供したいと考えます。
建築設計とは、クライアントの夢や希望を建築用語に翻訳することです。その翻訳の過程は、より良い空間をデザインし、プロジェクトが滞りなく進むように指揮棒を振り、快適で安心、安全であるための技術的な検討を重ねるべきだと考えます。
私たちは、翻訳家であり、デザイナーであり、指揮者であり、技術者の集団であることを自覚し、クライアントの夢や希望に向きあいます。そして建築物はクライアントの財産であると共に風景の一部だと捉え、上質な建築を創り街並みに美しさを添えることが、私たち3110ARCHITECTSの役割であり、社会貢献につながると信じています。


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