築60年ほどの木造家屋の改修工事である。
残された図面資料も無く、何度か増改築されたタイミングで記録された既存図をベースに計画を進めていくと、基礎の形状に不安があることがわかり、基礎の補強工事、耐震改修的な側面も取り入れながら意匠をまとめることとなった。
所謂耐震改修工事となると、耐震性を高めるために効率よく補強を施すことに終始してしまうため意匠性が疎かになりかねない。
コスト配分に配慮し、選定する材料を手に入りやすい素朴なものを積極的に採用して丁寧に扱うことで、意匠デザインと耐震補強がお互いに邪魔し合うことなく品の良い空間に仕上げることを目指した。
秋山 槙之介
秋山槙之介建築事務所
東京都
HP:http://www.shinnosukeakiyama.com
豊かな気持ちにさせてくれる空間をつくりたいと思っています。
対話の中から、その場所、そこに住まう人にとって本当に必要なものをすくいあげ、あるべき方向にまとめていくことから進めていきます。
簡素でありおおらかな空間は、心に安らぎと豊かさを与えてくれると思います。
その場所にある光や風を取り入れ、周囲の景色や自然とつながり、時とともに味わいを増し、愛着をもって暮らしていける空間になればと思います。