作品詳細
阪神淡路地震で家が全壊してしまった老夫婦の家である。老夫婦がかろうじて生き延びられたのは寝室の隣の桜が、夫婦の寝室が完全に倒壊するのを防いでくれたからであった。勿論この家の設計にあたっては、命の恩人である桜を生かすべく建てただけではなく、桜にむけて連続窓を設けた。老夫婦であることから融資が受けられなく、ロウコストで家を立て直すしかなかったのだが、プレハブやハウジングメーカーの家には、試練を乗り越えた後ということもあってであろうか、嫌だったようで、私のところに設計依頼がきた。ロウコストを得意としない建築家として設計に充分な時間をもらえるのならばトライをすると御返事をした。結果、設計に12ヶ月、施工に2ヶ月半かかった。設計検討をする中で、構造の効率化、建材や業種の数をおさえる以外に、工期を短縮化することがロウコストに対する一つのポイントだと思っていた。そして工事費1150万円で上がったこの住宅に自分で塗った内部壁の塗装代は含まれていないが、これは私なりの震災にたいするボランティア活動 であって、このような状況でない限り、施工は100%プロに任せていることは言うまでもない。
主要用途/Principal use : 住宅 House
所在地/Location : 兵庫県宝塚市 Takarazuka-shi Hyogo Pre.
敷地面積/Lot area : 301.91㎡(91.4 坪)
建築面積/Building area: 69.84㎡(48.8 坪)
延床面積/Gross floor area : 83.34㎡(25.2 坪)
規模/Dimension : 地上2階 2 stories above
構造/ Structure : 鉄骨造 Steel
撮影/Photo : Nacasa & Partners Inc.
竣工/Completion : 1997年11月 November1997