作品詳細
敷地は、竹林の山を背に、南側に棚田を望む里山の中にあります。敷地の東側を沿うように、南東から北へと続く石畳は1000年の歴史がある参道です。竹林奥へと繋がる古道は今もなお、通学路や生活歩道として地域の人たちに日々活用されています。新しく生まれ変わる家が、悠久より繋がってきたこの景色に見合う ものとなることを心にとどめ、設計が始まりました。
【 建て主さんのご要望 】
代々住み継いでこられた築80年余りの住宅の建て替えです。
老朽化が進んできたこともあり、 これまでの増築部分を含めると大きすぎた住居を、家族の息遣いが共に感じられるようコンパクトに、そしてご両親が穏やかに過ごせるようなバリアフリーの家をと望まれました。
【紡ぐ家 ~3世代の住まい~ は こんな住まいです 】
「家の歴史とのつながり」、「家族(世代)のつながり」、「地域とのつながり」を多角的にとらえて誕生した住まいです。「3世代がひとつの家で共に過ごすこと」をじっくり見つめました。そしてコンパクトにしながらもプライバシーの保ち方・距離感に心を配りました。
家族が集う空間と個になる 空間の距離感、それぞれの世代が自分らしくいられるよう、相手に配慮したり、自分の気持ちを自然と切り替えたりできるよう工夫しています。平屋部分の繋がり方はもとより、2階部分の在り方についても考慮しました。
階高のとらえ方を、空間の性格と上手に同調させることで、室内の家族同士や屋外とのつな がり、そして将来にわたっても2階の存在を引き立たせるようにしています。
また、あらゆる空間においてこの家を豊かにする事柄が互いに共存し共鳴しあっています。
たとえば、プランから導きだされた構造によってより「強さ」を高めたこと、そこでは収納などの「機能」も高めていること、さらに「光」や「風」や「気配」がやさしく行き交う空間としていることなど。紡ぐ家では、こうした「豊かな家であるための意匠」があちらこちらに「自然と」ちりばめられています。
旧家や地域の歴史、家族の想い出と共にある他のものでは代用することのできない古材は、新しい材とやさしく馴染みながらそっと溶け込むように存在し、包まれる人たちの気持ちを和らげています。
建て主ご家族と山道勉建築が共に見つめ共にとらえた家の本質は、幾層にも重なってより一層深みのある「日常」を紡いでゆく家となりました。
山道勉
山道勉建築
大分県
https://teamyamatani.com
人も家も“そのものらしく”いられるようにと、家族・自然・歴史・時間・地域、それぞれの繋がりを編み込むようにして、家と庭を同時に設計しています。
“家族の暮らし方”がカタチとなって、心のひだのようなところを感じることのできる住まい。
長い時間を超えて愛せる、愛される家を、皆さんと共感しながら生み出しています。