作品詳細
120年代々椎茸農家を営む3世帯4世代ご家族の住まい。
地域の結びつきが心地良いこの地に馴染み相応しい姿となるよう心掛けました。
大家族がひとつ屋根の下で暮らす良さを活かしながら各々が自然体でいられるように、居間ですべてが行われた旧居と同様、家族が自然と集える場とプライベートの個室とが程良い距離感を生み出す平面と断面を構築しています。
自然の豊かさと厳しさが常にそばに在る生活を賢くとらえ、多様な熱源(ガス・電気・薪風呂・薪ストーブ・太陽熱温水器)をバランス良く設え、気候や家族の状況に応じ無理のない選択を可能としました。
旧居の松の小屋梁で製作した階段・手すり・ダイニングチェアのアームは歴史を手から感じることができ、仏壇まわりや梁など古材を再利用することで60年前に先々代が建てた記憶を絶つことなく新しい世代へ想いを引き継ぎます。
また、地元材(日田杉)を多用し地産地消を実施。ほだ場を通して山を育てている者としての想いも反映しました。ダイニングテーブルセットと郵便受けは縁りのあるクヌギで製作し、椎茸農家として自然への感謝の証を常日頃から感じとれる存在となっています。
自然の環境と人間の環境を編み込む設計で、自然のチカラと人間のチカラを最大限に活かした実りある里の家が、万年山の麓に新たな時間を刻み始めました。
写真:ジェイクス佐藤二郎
山道勉
山道勉建築
大分県
https://teamyamatani.com
人も家も“そのものらしく”いられるようにと、家族・自然・歴史・時間・地域、それぞれの繋がりを編み込むようにして、家と庭を同時に設計しています。
“家族の暮らし方”がカタチとなって、心のひだのようなところを感じることのできる住まい。
長い時間を超えて愛せる、愛される家を、皆さんと共感しながら生み出しています。