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昭和レトロな事務所にある勉強家な建築家 山下弘治さん

 昭和5年に建てられた建築の歴史としても貴重なインペリアルビル。異国情緒溢れるこのビルの中に山下さんの事務所はあります。事務所の中に入ると、インナーバルコニーやレトロな家具、それにマッチした観葉植物等、海外の一室にいるような感覚になります。
 この空間に包まれて、どのような建築設計をされているのか、お話をお伺いするのが楽しみに!

 建築家を目指したきっかけ
 インペリアビルは、空きが出てもすぐに埋まってしまう程の人気で、14年間こちらで仕事をしています。内装は自由に変えられるため、元々あった洗面所やお風呂場は作業スペースにリノベーションをし、スタッフにも居心地がいいと好評です。
 建築家としてご活躍の山下さんは、パイロットにご興味のあった時期や美大に行きたいと思った時期もありましたが、結果、当時人気の高かった建築学科を専攻。大学では、志の高い生徒が多くいる中で、どうしたら実力の差を埋めることができるのか、とても悩まれたとのこと。その頃、大工さんのご紹介で設計事務所のバイトを始めることに。

 低時給ではありましたが、事務所の先輩がつくる作品やものづくりの工程を見たり、聞いたりしてく中で建築の面白さを知り、色々吸収したいという気持ちが強くなり、積極的に設計に携わるようになりました。その甲斐もあって、卒業制作では高い評価をいただけるようにまでなりました。
 卒業後に勤めた設計事務所は、ランドスケープや環境アセスメントなどを中心に活動していて、鉄道高架事業や駐車場整備計画などに携わりました。街づくりをしていく中で、人にフォーカスを当てたものを作りたいと思うようになり、結婚を機に住宅系企業に転職、設計部で9年勤めました。お客様からのヒアリングやプラン提案、設計監理からお引き渡しまで一通りの業務を身に着けることができましたが、残念ながら会社が倒産をしてしまったため、独立する決断をしました。

お施主様との関係性
 山下さんの作品は拘りのある大胆なものが多い印象。お客様はホームページからの問い合わせや、知人、お付き合いのある建設会社さんの紹介で、拘りを強く持ったお客様とのご縁が多いです。京都の街並みや料亭を思わせる別荘をご希望のお客様はとにかく建物が大変お好きで、設計期間は1年程でしたが、1週間~10日に1回の頻度で綿密な打ち合わせを重ねました。当時はインターネットも無かったので、色々な書籍をとにかく読み漁って、様々な演出を勉強しながら、提案しました。例えば、客人がトイレに行くまでに、履物を履いて石畳を通って先に何があるのだろうとワクワクするような空間や、食事処は料亭思わすような小上がりにするなど、あらゆるところに演出を散りばめたことで、お客様には大変喜んでいただけました。また、お茶をこよなく愛するお客様からは、茶室のご要望を頂き、まずは茶道を勉強して、千利休の子孫が開いた茶室を再現することを検討しましたが、資料がなく、スタッフと探し続けていたところ、広島の建築家の先生がお持ちであることがわかり、再現することができました。お客様のご要望のために建築のことだけでなく、そのものの本質まで追求するストイックさがとても頼もしい山下さんです。

今後の活動
 これまで経験してこなかった分野の建築にチャレンジをしたいです。例えば、神社建築や海の見えるモダンな別荘建築等。いずれも規制や作法等新たに勉強をした上で実現できる建築になりますが、新しいことにはこの先もずっとチャレンジしたいと思っております。

編集後記
 昔懐かしい、レトロな空間で作られる作品は、お客様のために、これまでの経験と新しいことへの探求心が沢山詰まっており、山下さんにお願いすれば、どんなに拘りに対しても、思い描いた以上のものを実現して頂ける、そんな素敵はお話を伺うことができました。
 山下さん、ありがとうございました。(廣瀬)


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