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住み心地を一番に、たのしい建築を 建築家 荻原雅史さん

 ホームページにあるコンセプトは「たのしい建築」。それは一体どのような建築なのでしょうか?また、事務所にお伺いし、最初に目に入ったのは木で出来た賞状。他にも様々な受賞歴がありました。諸々、楽しいお話が伺えそうです。
建築家を目指したきっかけ
 理系と文系、どちらも好きで、力学や数学などの理系要素や、歴史や芸術などの文系要素のどちらも兼ね備えている建築に魅力を感じたのが1番の理由です。 それ以前の記憶としては、小学校の頃の自宅の建て替えや祖父の友人に大工さんがいて、近くで作業している姿を見ていた影響もあるかも知れません。

 ご出身は長野県でしたが、大学から京都の生活で、卒業後はデザイン選考の指導教員だった高松伸建築設計事務所で4年程働いた後、自然な流れで2008年に東京へ上京し独立。
 京都は寺院など歴史建築物が沢山あり、新築の際は景観規制等、自由にならないことが多々ありました。その点、東京は、様々な建築物が集まる場所であり、出身地の長野へも1時間程度で行けることが独立拠点のポイントになりました。
 更に、高円寺を選んだのは、姉の住まいがあり、学生時代にオープンデスクで上京した際にはよく宿泊していたので土地勘がありました。下町のように、ミュージシャンやお笑い芸人も多く住んでいて、肩肘張らずにいられるのは居心地が良かったです。

建築へのこだわり
 デザインを重要視するのではなく、住み心地に重点を置いて、設計しています。ホームページに掲載している作品はお客様が生活する姿を想像し易いよう、インテリアを含めた写真を掲載するようにしています。実際に、荻原さんの作品をご覧になったお客様より、イメージに合ったということで設計のご依頼を頂くことが多々あるそうです。
 「たのしい建築をつくる」「毎日がワクワクする建築」と謳っている通り、見た目だけでなく、お客様が生活する中で暮らしに寄り添い、豊かにすることを大切にされています。
 また、自身ではあまり意識をしていませんが、木を使った作品が多く、自然が溢れる長野県で過ごしていた時代の記憶が脳裏にあって、選んでいるのだと思います。木で出来た表彰状は、熊本県木材利用大型施設コンクールでくまもとの県産材振興会賞を受賞した際に頂いたものです。地場産の杉規格品を採用しています。

仕事のやりがい
 設計のご依頼を頂くお客様は30代後半~40代の方で、自身と年齢が近い方が多いです。設計期間は通常半年~1年。初期は色んな可能性を検討したいため、複数の案を検討し、選んでいただきます。そこから、お客様と2~3週間に1回の打ち合わせで、会話を重ねながら積み上げていき、肉付けをしていきます。図面が細かく、専門用語が多いとお客様も分からないので、必ず模型を作ってイメージを共有します。また、設計仕様はとても悩みますのでこちらの情報や意見を客観的に提示しながら、時間を掛けて決定していきます。
 お客様に沢山お話をお伺いし、趣味嗜好、価値観に合わせた設計を見出し、結果、そこでの生活にワクワク感や喜びを感じて頂けると、とても嬉しいです。

編集後記
 終始、穏やかにお話しをされる荻原さんの優しい空気感。お客様も自然と安心して楽しい会話が弾むからこそ、お客様の生活に寄り添った家が実現します。
 ご出身の長野県からはコンスタントにご依頼があるそうですが、全国どこまでも設計をしますよ!とのこと。
 荻原さん、ありがとうございました。(廣瀬)

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