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お客様の個性を大切にし、高尚な住宅を設計される建築家 道家洋さん

 事前にホームページを拝見すると、斬新で一般的にイメージする家の形とは異なり、様々なスタイルの建物が多い印象。

建築家を目指されたきっかけ
 大学受験の時、理系志望でしたが、文系にも関心があり、目に留まったのが建築。名古屋大学工学部建築学科を卒業し、設計事務所で経験を積み、独立しました。

住宅設計の拘り
 自身の拘りはほとんどありません。住宅はお客様の個性や要望を私たちが解釈して、設計します。いわばそれは、その人の「器」でもあるし、設計者の「器」でもあると思っています。答えは人それぞれであるため、決まったスタイルは押し付けずに、一緒に探していきたいです。
 例えば、K TOWERでは、土地の制約が厳しい中で相談いただいた、ご夫妻2人のための住宅です。ご主人は教員でありながら、ジャズピアニスト、奥様は画家だったため、地下1階にピアノを設置する部屋とアトリエ。1階にリビングダイニング、最上階では、小屋組からスキップフロア状にお風呂がぶら下がっています。これは、「ここに住みたい」、という明快なお二人のご希望があってのものです。

 ヒアリングをしていて、人間って面白いと思います。そのような人たちと関わって仕事をする中で、1つの出会いや相性が、建物の満足度を大きく左右するといっても過言ではありません。竣工後も色んな形でお付き合いを継続していけたら嬉しいです。

唯一無二の設計
 一時、鉄板をよく使っているときがあって、ある物件ではコストが少ない中、和風で門を要望された方へ鉄板で寄棟のシルエットをつくって、格子戸を入れ、和風の“エキス”だけを取り込んでつくったりしました。
 また、他にないカーポートが欲しいとのご希望があったときには、折り紙のように12㎜の鉄板を折り曲げて、6m片持ちはね出しで2台の車が置けるものにし、とても喜んで使っていただいています。
 建築家というフィルターを通して、お客様の個性を発揮できる唯一無二の建築にしたいです。建築は一種の芸であると思いますので、これからもその芸を磨き続けていきたいですね。

アートワークス
 知人にギャラリーでグループ展をやるから、何か作品を作ってみないかと言われたのが切っ掛けで作り始めたのですが、熱感センサーで人に反応して動き出し、4つのカタカナなどの文字が表示されます。同じ文字が揃う確率は限りなく少なく、3つ揃ったり、4つ揃ったりとまるで無意味な文字の並びに、人が勝手に意味を見出すというような作品ができました。ひょっとしたら占いに使えるかも知れませんね。
 青の庭がテーマのグループ展では同じシステムでカラフルなblueの文字を並べました。でも、カラフルな色の中に実は青色はありません。Blueの文字が揃うのを待ちながら、想像の中に青を思い浮かべる、という作品です。10年前につくったものですが気に入っています。

編集後記
 人に関心を持って、その関係を楽しみながら、設計されている道家さん。お客様それぞれの個性を大切にされているからこそ、違ったデザイン建物が実現します。
 プライベートでは本を読んだり映画を見ることがお好きで、ここ5~6年は親戚の畑を画家など芸術関係のご友人とお米を作っているそう。身体スケールを介して建築とも関係していると感じていて、さらに、田畑の周りは少子高齢化や過疎化、後継ぎ、空き家問題など、今の日本が直面している様々な問題にも通じているのが分かる。そうした問題を解いていくヒントが見つかればなとあわく思っていますとお話しいただきました。
 次回、お会いしたときはその活動を通じて、進展のあるお話が聞けることを楽しみにしています。
 道家さん、ありがとうございました。(廣瀬)

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