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地域の方々から親しまれる「町の建築屋さん」を目指す建築家  朝倉 匡志さん

建築家を目指したきっかけ
 ひと言で表せば、きっかけは実家が建築業を営んでいたから。物心ついた時には、大工の祖父と叔父が家の横の作業場で、構造材の柱や梁の刻み仕事をしている様子を間近で見てきました。加工する音や、木の匂いが普段の生活の一部としてありました。住まいを通して、何かを生み出す職人仕事、楽しそうにしている様子。そういった生き様を間近に見てきて、私自身もいつか住まいをつくる仕事に携わりたい、そう決心したのだと思います。実家は小さな大工工務店でしたが、地域の方々から頼りにされ、時には助けて頂きながら長きに渡りやってこれました。建築家というと、少しお堅そうなイメージがありますので、私は建築家を目指すというよりは、町のお魚屋さん、お花屋さんのような、親しみやすい『建築屋さん』を目指していきたいと思います。

設計のこだわり
 私の手掛ける住まいのコンセプトは、高気密高断熱で設計と素材感、現場力に拘り、『愛着の湧く家』を提案するように心掛けています。愛着が生まれるような住まいは、住まい手の暮らしの負担が少なく、「心地がいい家」、家族それぞれに「落ち着く居場所」があったり、リラックスできる空間がある家です。
心地よさのためには「温熱性能と現場力」が欠かせません。家族の居場所をつくるには、「設計力と素材感」が大切になります。住まいは意匠だけでは心地よくはなりません。夏にはさわやかに涼しく、冬はふわっと暖かくなるように、温熱設計をすると共に、それを実現するための設計監理と現場管理に拘ります。
単に部屋の大きさや動線計画だけで間取りを書いてもそれは必要な用途をみたすだけで、居心地の良い空間をつくることはできません。居心地で大切にしているのは「視線の抜け」と「居場所」をつくること。敷地を読み解き、屋外への繋がりを考えたり、周りの緑を取り入れたり、最大限空間を広々と設計し視線の抜けをつくり、家族の居場所をちりばめていきます。そして素材に拘ります。自然素材の良さは、工業製品にはない経年変化を楽しめること。「そとん壁」や「中霧島壁」といった自然の素材は、ついた傷さえも思い出となり、味となり、時にはいとおしく感じることもあります。私の設計では、住まいの中にできるだけ多く自然素材を使用し、素材の心地よさを感じて頂けるようにご提案しております。

お客様との関係性
 地域密着型のなんでも頼れる『建築屋さん』になりたい。この人には言いやすい、頼みやすい、まずは私自身そんな人間でありたいと思います。そのうえで、想いが一緒に共感して頂けるお客様と一緒になって家づくりをしていきたいと思います。家は完成してからが本当の始まりだと思っております。『愛着の湧く家』は大切にされる住まいでもあります。大切にされる住まいは、住まい手自身も気を配り、適切なメンテナンスや修繕がなされるため、何十年でもさらにその先も使い続けることが出来ます。私はその暮らしに寄り添い、困った時は気軽に頼りにされる、そんな関係性をお客様と築いていけたら嬉しいなと思います。

お仕事のやりがい
 単純な事ですが、小さなリフォームの仕事でも、新築のお仕事でもお客様の感謝の言葉を掛けて頂いたときは、本当にうれしく思います。お客様ありきのお仕事ですから、住まわれるお客様がご満足いただけることが何よりやりがいに繋がります。私自身が建築が好きでやっている仕事ですので、つくるものには常に拘っていきたいと考えております。お客様の想いと同じように、一つとして同じものが無く常に最新の知識が必要とされ、設計技術も磨きをかけないといけない、つくり手としてこんなに楽しい仕事はないんじゃないかなと思います。

編集後記
 小さなお困りごとでも気軽に相談してほしいというお言葉から、朝倉さんのお客様に対する真摯なお気持ちとあたたかなお人柄を感じました。四季を通して快適に住んでいただくために温熱性能にこだわり、それを実現するための 設計監理 、現場管理など最後まで現場に携わり取り組んでいらっしゃるお姿が見えました。また、自然素材を多く使うことで、経年変化も楽しみの一つとなり、年々愛着を感じる家になると仰っていました。
長く住むことを考えた心地よい家づくりはお客様の生活を豊かにしているのだと思いました。
朝倉さん、ありがとうございました。(飛髙)

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