建築家を目指したきっかけ
こどもの頃から「ものづくり」が好きでした。厚紙やバルサでよく模型をつくりました。建築を意識したのは、父が建築技師の公務員だった影響もあると思います。実際は大学に入学してみて、建築の楽しさ・奥深さを強く感じ「本気で建築デザインに取り組もう!」と思いました。学内コンペで一席を頂戴したこともあり、大学院に進みました。
卒業後はアトリエ事務所に勤務しました。そこは他の設計事務所とは違い、オフィス・住宅・店舗など建築設計の他に、家具のみの設計も経験させて頂きました。アトリエ事務所に5年程勤務した後、組織事務所に移りました。大きな規模の建築・公共建築等の設計も担当させて頂きました。組織事務所に5年余り勤務した後、独立開業に至りました。
住宅設計の拘り
住宅は建築で最も難しいジャンルかも知れません。それは他の建築とは違い、機能を設定しづらいからです。例えば、リビングルームは家族団らんで語り合う・TVなどを観る・皆でお茶を飲む・お昼寝もする・お客様を通す・一人で読書するときもある・・・結局何にでも使える部屋ですよね。このようなことは他の建築には見当たりません。そのため難しく、また建築としての可能性を秘めていると思います。
もう一つはヒアリングです。お客様から細かな要望に対し、私はその理由を深く伺います。単に物理的なことだけでなく、その要望の奥にあるお客様の考えを聞こうとします。そして、ご家族・ご夫婦の有りよう、子供さんの教育に対する考え、毎日の生活で何を最も大切にしたいか、将来どうありたいか・・・そのようなお客様の生き様に対し、最適な回答を見付けたいと思っています。
設計事例
「階段の家」はWebコンペを通して実現しました。当時、100人以上の登録者から3名の建築家が選ばれ、それぞれが基本案を提出し、私の案を選んで頂きました。その後、お客様と打合せを重ね、当初の基本案とは随分異なる計画になりました。それは「住宅設計の拘り」で述べたお客様からの要望を丹念にお聞きできたからです。
仕事のやりがい
設計の最中で最もワクワクするときは、ヒアリングから導かれた漠然とした考えやコンセプトが明快な形として具現化したとき、つまり基本設計の骨格ができたときです。あと当然のことながら、竣工時は興奮しますね。自身で描いた線が実際に立ち上がって、そこに存在している。そして最もジ~ンと来るのは、竣工後、何年も時が経って、ご家族の幸せにその住宅がお役に立っていると思えるときです。
編集後記
とことんヒアリングを重ねていかにお客様に寄り添うか、またその思いをどのようにしたら最高の形に出来るのかを何よりも大切にされているという印象を受けました。同時に絶対に満足のいくものを作るんだという熱い思いも感じることができました。きっと作品が完成される頃にはお客様と一心同体のような関係性になられているのではないかなと心が温かくなりました。
古里さん、ありがとうございました。(長養)