引戸の家 千葉県

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作品詳細

『これからの住まい』
日本の建築には昔から引戸が多く用いられてきた。日本の建築には縁側空間があり、日本人は雨戸や障子といった引戸を活用し、外部の自然や人との繋がり方をコントロールしながら暮らしてきた。このように外部環境との繋がり方をコントロールする装置を、集合住宅の住戸内でも活用することはできないだろうか?
ごく一般的に言って、集合住宅の住戸内廊下は暗く閉鎖的である。限られた採光は居室に割り当てられ、住戸内廊下は無採光でスペースは最小化されるためである。そこで今回のプランは、寝室と廊下を壁で区切るのではなく、10枚の連続引戸で仕切ることにした。10枚の引戸は二本のレールに乗り、開いていても閉じていても美しい状態を保つことができ、こちら側とあちら側の繋がり方の度合いをコントロールすることができる。連続引戸を開けておくと、午前中、寝室の窓からの光が廊下側まで優しく照らし、通常閉鎖的になりがちな住戸内廊下に、光と開放感を与えることができる。
廊下は玄関から連続したタイル仕上げとすることで、日本の町家の通り土間のように、伸びやかで開放的な空間を目指した。子供部屋はまだ小さい子供が将来自室を持てるように4枚の引戸で仕切ることができ、廊下との間の棚は引戸を開ければ廊下からも使うことができ、部屋と廊下の境界を曖昧にした。
広く開放的なLDKの一角には在宅ワークスペースを設けた。ワークスペースはガラス引戸によって仕切ることができ、まだ小さな子供の様子を見守りながら仕事をすることができ、引戸の開閉で家族との繋がり方をコントロールすることができる。
引戸の開閉や扉の仕様を工夫することで、広い部屋に集まったり、個室に閉じこもったりと、限られた空間の中でも、そこで過ごす人同士が様々な距離の取り方を選択することができる。このように、繋がり方に選択の幅があることこそが、家で寛ぎ仕事もするという、これからの住まいの一つのあり方なのではないだろうか。

所在地 : 千葉県
用途 : 共同住宅(リノベーション)​
竣工 : 2020年7月
構造 : RC造
階数 : 地上1階(対象住戸)
​撮影 :  Forward Stroke Inc.


鈴木将記

鈴木将記建築設計事務所
HP:https://www.suzukiarc.com/

東京都港区を拠点とした若手建築家による建築設計事務所です。建築家ならではのアイデアでクライアントの期待を上回る提案をいたします。住宅、店舗、オフィス、クリニック、ホテルなど、様々な用途の建築の新築やリノベーション、インテリアデザインに対応可能です。

<設計理念>
『建築設計を通して人と環境に優しい未来を創造する』
建築の規模や用途に関わらず、普遍的な心地よさと環境への配慮を追求し、自然と人が集まる場所を目指した設計を行います。

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