作品詳細
知多四国霊場八十八か所巡り いわゆるお遍路の道沿いにある斜面地に建つ木の住まいです。
全面道路は幅員2m弱(舗装部分)しかありません。軽自動車がようやく通れる程度のこの狭い道がお遍路になっていて、週末ともなるとそれなりに人通りがあります。
敷地の東西を斜面に挟まれた南北に長い敷地で平地はほとんどなく教科書通りにいけば「はい造成!斜面削って擁壁ドーン!!!」となるのでしょうが、それではあまりにも品がなく、敷地の魅力もへったくれもなくなってしまうので(挙句にめっちゃコストかかる)、高基礎で生活スペースを2階レベルに持ち上げる計画としました。必然的に予算に占める基礎工事の割合は大きくなってしまいましたが、土地を削って擁壁を建て、無味乾燥・高圧的で不愛想な景色をつくるのに比べれば意義があり、そしてかなり安価で済んだのではないかと思います。
高基礎で生活スペースを持ち上げたことでお遍路を行く人からの視線も気にならず、斜面地の恩恵である眺望も確保でき東側の窓の先には三河湾の入り江である衣浦湾を望むことができます。古く干拓される以前は、斜面下に走るJRの線路が波打ち際であったことが想像されます。
また一段上がった敷地西側は住まい手の祖母が手をいれている畑となっており、住まい手はこの畑側から直接内部空間へアポローチできるようになっています。内部空間はキッズスペースのみを主寝室とずらした位置で上階に載せ、主世代は実質平屋で生活が完結するプランとなっています。
南側の斜面地を含めた空地を住まい手がどう育てていくのか。今後の成長・変化が楽しみな木の住まいです。
建築面積:86.12㎡
延床面積:101.03㎡
4LDK
家族4人(夫婦+子2人)
住宅地、斜面地、丘陵地、高台
神谷義彦
神谷建築スタジオ
愛知県
https://www.kamiyastudio.com/
自然素材をつかい、日本の山の木をつかい、自然のエネルギーをつかってそしてちょっとだけ設備にお手伝いしてもらう。
やせ我慢の快適ではなく、メカメカの快適でもない。
程よい塩梅で整えた「おおらかな」木の住まいを、「しっかりとした」裏付けのもとに提案させていただきます。