土支田О邸

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作品詳細

接道条件や計画地周囲の状況、建蔽率の規制条件などから、敷地内の北東側に駐車場、南西側にまとまった庭、という配置で対角線上に空地を確保することは必然でした。その上で建物配置や動線計画などのプランニング、伴い各種高さ規制をクリアするボリューム構成など、かなりのパターン検討を行いましたがなかなか決定に至りません。そこで当事務所としては珍しく、平面的に1本の斜めの線を入れてみることに。その壁の左右で逆勾配とした2枚の片流れ屋根というシンプルな構成をご提案したところ、施主から「それ、いいですね〜」との回答。やっと方針が固まりました。併せてこの斜めの壁は特別な位置づけということで両面ともレッドシダーまたはガルバリウムの仕上げとし、内外空間のアクセントとする企てです。
また、一階のLDKとほぼ段差なしで繋がる中庭テラスも含めその床仕上げは全面タイル、2階に対して各所に吹抜けがあるため、かなりオープンな設えにすることも可能でした。しかしそこをぐっとこらえ、斜めの壁に関してはその存在感を残すため開口部の面積を制御、壁の各所に穴を空けるという設えにこだわりました。動線的にはこの開口を行ったり来たり、視線的にも向こうが見え隠れする感じで、結果として奥行きを与えたり、回遊性を強調させたり、空間をより豊かに感じる仕掛けにもなったのではないかと思います。
安易に特異な要素を空間に持ち込むことには抵抗がありますが、ちょっとした変化を加えることで、全てがうまくいくケースもあるのだと実感した計画でした。

遠藤 誠

遠藤誠建築設計事務所
東京都
https://www.m-endo.net/

「そこに在るべくして在るような建築」 を目指して設計したいと思っています。
建築を自己の表現媒体の作品とすること (他よりも抜きん出ることに主眼が置かれ、奇をてらうことを意識しているような…)への抵抗感から、そう思うようになりました。在るべくして在る姿=必然たるデザインとは、一見地味で目にとまりにくいものかもしれません。また、追及し極めるためには深い想像や多大な時間を要する、効率の悪いものとも思われるでしょう。しかしそういう姿勢から、時代の流れに迎合しない、長く、深く愛されるデザインは生まれると考えています。
建築にはまず使う人がいて、敷地があり、それをとり巻く自然環境、社会環境、経済環境などさまざまな条件があります。そこに在るべき建築の姿とは?それは建築家の頭の中にあるのではなく、すでに存在している。設計という作業はそれを探し出すことであると考えています。

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