作品詳細
高台にあるマンションのリノベーション計画である。夫婦、2人の子どもたちの4人家族の住まいである。既存の間取りは、南側にバルコニーを配置し、東側に並ぶ各部屋は窓から採光はあるが、中央に配置された廊下から玄関、水廻りは暗く光がほとんど届かないという状況だった。まずは、既存の内装を全て取り払いスケルトン状態にし、光の入り方や躯体の状況を確認しプランを考えることとした。突き当りのある各部屋をつくるのではなく、全体を緩やかに間仕切りながら回遊できるような空間をコンセプトとして進めることとした。日の光が差し込み、朝の雰囲気をどこにいても感じることのできるような空間をイメージしながら、反射する光や風が流れる空間を考えた。将来、子どもたちが巣立つことも考慮して子供部屋を和室に改修する計画も盛り込んだ。リノベーションという限定された場であるからこそ、逆に可変性のある柔軟なプランになったのではないかと感じている。隠れていた既存コンクリートと、木や漆喰という新しい素材の組み合わせにより、建築の記憶と空間が柔らかく繋がる。
原田 直実
原田直実建築設計事務所
広島県
https://naozane.net
建築と自然の形は、その地域の土壌、気候によりさまざまに変わります。クライアントの思いと土地から生まれる形状を読み解きデザインすることで、その地域の風景をつくることを心掛けています。