作品詳細
閑静な場所に位置する二世帯住宅の計画である。市内中心部からほど近い場所にありながら古くから続いている畑がぽつぽつと点在しており、この地域特有ののどかな雰囲気と発展した街並みが混在する場所となっている。古い風景を想像した時に浮かんでくる民家と畑の関係を紐解きながら、建築と外部空間の繋がりをコンセプトにプランを進めた。このコンセプトをヒントに周囲と緩やかに繋がりながら、庭に包まれているような空間ができないだろうかと考えた。敷地は、南側と西側に高さのある建物によって囲まれているが、北側の前面道路と東側の駐車場に対しては開かれた環境となっている。季節により様々に変わる光の入り方をプランしながら、建物のボリュームを立ち上げ、大小の建物の間が内外を緩やかに繋げる庭となるように計画した。
外観は、道路側に対して閉じることでシンプルな表情をつくり、緑で敷き詰められた芝との対比によって、緩く街並みに溶け込んでいくことをイメージした。前庭のエントランスから内部へ入ると、庭と庭の間をすり抜けるようにしながらダイニングからリビングへと誘われる。一段高くなっているリビングは、腰掛けのベンチとして迎え入れる人たちに自由なスペースを与えてくれると同時に、包まれた雰囲気のダイニングを演出してくれる。
週末になれば、人々が集い賑やかに過ごすことをイメージしながらこの住宅を設計した。庭をキーワードに内外の繋がりを意識した光の溢れる明るい空間は、夜になれば外部に対して明りを灯すような優しい空間へと変わっていく。
敷地面積:458.07㎡(138.56坪)
延床面積:186.36㎡ (56.37坪)
構造:木造 2階建て
原田 直実
原田直実建築設計事務所
広島県
https://naozane.net
建築と自然の形は、その地域の土壌、気候によりさまざまに変わります。クライアントの思いと土地から生まれる形状を読み解きデザインすることで、その地域の風景をつくることを心掛けています。