作品詳細
高齢の夫婦と娘の住まいである。敷地はベッドタウンとして発展してきた街で、古い住宅群の中に新しい住宅が混在した街並みとなっている。周囲には公園もないことから、建物で埋め尽くされた街の中に、森のような緩衝帯となる安らぐ空間を街の風景に取り込みたいと考えた。
敷地は東南側に開いた角地であることと、西側の隣家は一段下がり駐車場分をセットバックしているため三方が開かれた環境となっている。ゆったりした敷地と高齢のクライアントという点から平屋でプランをしていくこととしたが、単一ではなく大小のボリュームを配置しながら外部に間をつくり、内部の空間を構成したいと考えた。
静を寝室等のプライベート空間と捉えた時、動は家族で食事や団らんをする場となる。この対極の関係をヒントに、庭を挟むようにふたつのボリュームを立上げ、南側道路に静空間を配置することで前面道路からの緩衝帯とし、北側に配置した動空間から外部へと繋がる開放的な空間となるようにした。
静空間・動空間を繋ぐパイプの存在は、玄関も兼ねており開放的な場としている。玄関までは、敷地に入る所から飛び石で誘導されるようにスロープから建物のスキマに引き込まれるようなアプローチとした。
年月を重ねることで木々が育ち、生き物が集まり、人が集い安らぐ場所になるように森のような家を目指した。
敷地面積:249.01㎡(75.32坪)
延床面積: 99.38㎡(30.06坪)
構造:木造 平屋建て
原田 直実
原田直実建築設計事務所
広島県
https://naozane.net
建築と自然の形は、その地域の土壌、気候によりさまざまに変わります。クライアントの思いと土地から生まれる形状を読み解きデザインすることで、その地域の風景をつくることを心掛けています。