白い塗壁の外観に黒い杉板のシックで落ち着きのある蔵のような外観。中にはいると、砂が敷き詰められた中庭に石が置かれ、京都の建物を思わせるような風情のある空間が広がっています。更に進むと、中庭の日差しが差し込む素敵な事務所。壁一面には表彰状がずらりと並んでいて、どのようなお話がお伺いできるのだろうかと、ワクワクしながら取材開始。
建築家になったきっかけ
小学生の頃から絵を描きやモノを作ることが好きで、建築に興味があり、大学は立命館大学の土木工学科に進学。最初の就職先は橋の設計でしたが、公共のものであるため、住宅等の建物に比べると、設計の範囲が限られてしまい、もっと自分の理想に近い建築を作りたいと退職。一級建築士の資格を取るために猛勉強し、製図試験が終わってから、合格発表までの2か月間バックパッカーをしながら、ヨーロッパ10ヶ国の建築を見て回りました。コルビュジェを初め、そこで見たものや経験したことは、今でもかけがえのない財産となっています。
住宅設計の拘り
お客様の要望を取り入れながら、将来を見据えた、様々な変化に対応できる家づくりを心掛けています。そして、日本の環境や気候、文化、外と内の関係を重要視しながら設計。特に外構や庭づくりは土木での経験が役立っていて、自邸では、大学時代に好きで通っていた龍安寺の石庭を再現。白石に15個の石が配置された故山水に近いものにするため、住職さんに電話をし、砂利や石の種類などの画像を送っていただきながら、京都から同じ砂を取り寄せるなど拘りました。故山水では砂敷は水面を表現することが多く、我が家でも熊手を引いて楽しんでいます。
お客様はご紹介していただくことが多く、大学時代や就職先、旅行先など、人との繋がりを大切にしてきたからこそ、今の自分があると言っても過言ではありません。最近は、会員である埼玉建築士会からのご縁で、幼稚園の依頼も増えていています。
建築業界への取り組み
建築イベントにも積極的に参加していて、熊谷市の建築士会ではトークイベントを企画。工業高校の生徒や建築関連の先生、建築経験者、建築好きなど、老若男女の方と交流し、とても素晴らしい会となりました。建築家志望の青年は事務所にも来て、私の話を熱心に聞いてくれ、これからもこのような活動を通して、未来ある子どもたちのお手伝いをしていきたいと思います。
編集後記
トークイベントで、「独立開業において大切なことは、情熱と覚悟とご縁を大切にすること!」とSNSで配信されていたのを拝見しました。この言葉通り、バックパッカー時は3度も遭遇した方と今でもお付き合いがあり、歴史好きの奥様とは京都の観光地で偶然出会い、埼玉建築士会や建築イベントなどの交流など…その行動力と、人とのご縁を大切するエピソードをいくつもお伺いしました。
将来は海外での設計をしたい!山岸さんのそのエネルギーでその夢が叶う日も近そうですね。
山岸さん、ありがとうございました。(廣瀬)