海や山に囲まれた自然豊かな神奈川県逗子市にある事務所兼自宅。仕事場と住空間のほどよい距離感と、お子様2人が楽しく遊び回り、お客様には寛いで過ごしていただくことをテーマに設計されたそう。白を基調とし、木材が多く使われたナチュラルモダンな空間で取材を開始。
建築家を目指したきっかけ
山崎さん：
父は東京に住みながら、故郷の長野にセカンドハウスを建てたいという夢があり、モデルハウスやログハウスを家族でよく見に行きました。その際、ここが自分の家だったら・・・と想像しているうちに、住まいを考えることの楽しさを知りました。中学生の頃には既に住宅設計の仕事をしたいと思っていて、大学は多摩美術大学に進学しました。自営業の家庭で育ったため、企業に勤め続けるイメージを持っておらず、加藤が独立を目指していたこともあり、二人で設計事務所を始めることにしました。両親は長野へ移住し、念願の新築を建てました。設計は2 人で担当し、長年の夢が実現しました。
住宅設計の拘り
加藤さん：
住宅を専門に設計しているので、作品づくりでなく、「お客様の満足をいかに高められるか」ということを特に意識しています。お客様の想いや希望をよくヒアリングし、間取りは二人で感じたことを話し合いながらプランニングします。完璧主義の山崎はお客様の細かい要望まで、全て取り入れたいため、更に突き詰めながら、1 つの案にします。得意分野が異なるので、お互いの強みを生かしながら、共同で設計していることは当社の強みだと思います。
山崎さん：
住宅は、店舗や公共施設と違い、そこで暮らす家族のために作るものなので、想いや拘りをしっかり聞き出しながら打ち合わせを重ね、ひとつの正解を形にしていきます。お客様に満足していただくためには、デザインだけでなく、収納や動線など、暮らしやすさが一番だと考えていて、そこは加藤と全力で取り組んでいます。この基本スタイルは変えずに、これからも続けていきたいです。
大切にしていること
➀暮らしやすい間取り
これから家を建てようとされている方は、例えば4LDKが欲しいとか、20畳のリビングが欲しいとか、いろいろなイメージをお持ちになると思います。けれども、良い間取りは部屋をパズルのように組み合わせれば出来上がる訳ではありません。間取りを考える際には、おさえておきたい大切な要素がいくつかあります。
・周辺の環境から考える ・動線計画を考える ・収納計画を考える
②飽きない家
何十年と住み続ける家は「飽きないこと」がとても大切だと考えます。外観、内観ともに、普遍的なデザインや素材の経年美により、時とともにおもむきの増す家づくりを心がけています。素材の持つ美しさや個性を純粋に表現し、無駄のないデザインを目指しています。
・地域に馴染む外観 ・自然素材
③一年を通して気持ちの良い家
私たちは、一年を通して快適に生活できる家をつくりたいと思っています。そのために、外気温の影響を受けにくく、安定した室内環境をつくり出す高気密・高断熱住宅に取り組んでいます。一方で、より豊かな暮らしができるように、風や光や景色といった外部の気持ち良さを積極的に取り込む設計の工夫をしています。
・高気密＋高断熱 ・内と外の中間領域
完成までのスケジュール
注文住宅の設計は決めることがたくさんあります。ひとつひとつ納得いくまで話し合いつつも、設計に何年もかける訳にはいきませんので、「いつまでに何を決める」という明確な設計スケジュールをお客様と共有し、計画的に進めていくことが大切です。各段階において「提案→検討→決定」というサイクルで打合せを行い、設計を着実に進めていくようにしています。メリハリのある有意義な打合せを重ね、工事着工までにほぼ全ての設計が終わるよう心がけています。
設計事例
佐助の家は、鎌倉の御成町にある住宅です。風情ある鎌倉の街並みに馴染むように、高さを抑えて威圧感を与えない外観デザインを考えました。外壁に焼杉を採用することで背景の竹林との調和を目指しました。ホームパーティーが好きなご夫妻のために大きなキッチンを中心に、随所におもてなしの工夫を盛り込んだ間取りを設計しました。
編集後記
加藤さん、山崎さんはパートナーとして尊敬し合い、お互いの強みから様々な視点を持って1つの設計を作り上げます。
スケジュールにも抜かりなく、分かり易い計画表や、打合せに無駄がないよう、内容をカリキュラムのように設定するなど、お2人の誠実さが表れ、このような取り組みが信頼関係に繋がっています。
お子様に対する思いや悩みなど、優しいご両親としてのお話もお伺いしました。同じ子育て世代の方は是非ご相談ください。
加藤さん、山崎さん、ありがとうございました。（廣瀬）
