作品詳細
敷地は徳島県鳴門市の低層住宅と田畑の混在した地域に位置し、北側は道路に、南側は畑に面しています。建築主のお住まいは敷地近くあり、駐車場として利用していた今回の敷地にセカンドハウスを建てたい、という希望から計画が始まりました。
計画するにあたっていくつか希望を受けました。一つ目は、趣味仲間とのアイシングクッキー作りや、友達家族とのバーベキューができるように集える空間。二つ目は、娘さんが将来プライベートエステサロンを行うための空間。三つ目は、お子さんとキャッチボールやバッティング練習ができる庭。そのほかに、北側の住宅街からの目線を防ぐ、リビングから車が見える、室内まで車椅子でのアプローチを可能とするようバリアフリーを一部に取り入れる、といったものでした。
セカンドハウスということで部屋数は最小限でいいことから、計画当初から平屋での検討を行いました。敷地は周辺に低層の建物しかなく日当たりよく、さらに南側は畑に面して大きく視界が開けていました。
そこで、北側からの目線を防ぎつつ南側のパノラマビューを確保する、直射日光を防ぎつつ太陽光による陰翳を確保する、という外部に対して閉じながら開くことをテーマとし、日常から切り離され自然をゆっくりと感じられる空間を目指しました。
建物は大きく分けて3つの要素から構成されています。建物北側に建つ大きな目隠し壁、水平方向に延びるコンクリートデッキと屋根の2枚の板、そしてその2枚の板の間に挟まる各居室のボックス。コンクリートデッキと大きな屋根は、それぞれ縁側となり直射日光を防ぐ大きな庇となります。縁側は半屋外的な空間となり、バーベキューなど庭でのアクティビティの際の人々が集う場所となります。
用途:専用住宅
場所:徳島県鳴門市
敷地面積:458.60m²(138.73坪)
建築面積:126.67m²(38.32坪)
延床面積:128.81m²(38.97坪)
構造:木造
階数:地上1階
竣工年:2018年
写真撮影:平桂弥(studioREM)
藤原 慎太郎 / 室 喜夫
藤原・室建築設計事務所
大阪府
https://aplan.jp/
建築は空間を、空間は景色を。
景色は体験と記憶を。建築に完成はあっても、空間に完成はありません。
空間が見せる景色は、人、時間、自然によって移ろい、決して完成することはないのに、一瞬一瞬の体験と記憶のなかで完成しています。