ロケーション

作品No

家族構成

広さ

建築家

都道府県

城陽平川の家

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作品詳細

城陽市久津川一帯には大きな前方後円墳の車塚古墳をはじめ、数多くの古墳群が点在している。古墳跡地の住宅地も多く、この家もその住宅地に建つ。周囲の区画は大小さまざまで空き地もあって、菜園等に利用されていると云った状況である。この様な環境の中にあっては門や塀を巡らせた家でなく、開放的で大らかな家が似つかわしいと思い計画を進めていった。
先ず道路側の外壁を可能な限り後退させ、道路沿いに充分な緑のスペースをとり、それと中庭を続けることでコートハウス的な様相を呈しながらも開放的で「あいまいな緑の領域」をつくりだし、この領域を生活の拠り所にしてこの場がベーシックで豊かな居場所となるような住まいの在り方を求めた。中庭に面してこの家の中心とも言える広間がある。大人三人のすまいということで、広さは3間×3間で4320の高い天井高をもつ、ゆったりとした空間としている。中庭に大きく開放された開口部からは床にバウンドした光が広間全体を柔らかく包み込んでいる。そこから入る風をピアノの上部にあるトップライトで抜くことで、風と共に葉音や花の香りを室内に運んでくれる。東南隅の上部の窓からは朝日が白い壁を撫でながら食卓を明るく照らしている。この窓はソファーからは満月を眺めることも出来る。北西コーナーのスリット状の窓には格子戸を取付け北側隣家からの視線を防ぎつつ、通風、採光を可能にしている。それぞれの場に相応しい光の在り方を求め、空間全体の整合性をとりながら陰影のある落ち着いた空間をつくり出そうと思った。この広間を中心に各室を配している。個室はそれぞれにクロゼットや机が備えてあり、プライバシーの高い独立した空間としている。台所も広間の空間性を損なわない様に独立型としているが格子戸を壁の中に引き込むことで、オープン化することも出来る。独立型ではあるがトップライトに依って明るく快適な台所となっている。トップライトから入る夏の厳しい日差しは大屋根で防ぎ明るさだけを取込みすこぶる好評である。この家は木造一部2階建であるが全て深い軒に依って風雨から守られている。
そして耐久性の高い外壁や素材の選定、遮音性のある断熱材の採用等基本的な部分を抑えた所謂ベーシックな住まいである。
「あいまいな緑の領域」に植えられた木々が成長し、道路をも含めたこの場が潤いのある豊かな環境となることを願ってやまない。

安原 三郎

安原三郎建築設計事務所
京都府
http://www.yasuharasaburo.com/

自然と対峙する
“自然との共生”や“ランドスケープの中で”といったテーマが叫ばれてから久しい。
もともと人々の生活は里山や田園にみられるように自然に対する本能的な恐れから雑草などと格闘しながら生活し続けてきました。
自然は人間にとって敵であったとも言えます。自然の恐ろしいパワーを考え合わせると、一度自然と正面から向き合うことが必要なのではないでしょうか。
そして“自然と対峙”することで初めて自然の恩恵を蒙ることができるのではないでしょうか。言いかえれば自然と人間が“拮抗と融合”の微妙なバランスをとることが最も大切なことだと思います。
豊かで自立した住空間を作り、そして自然と向き合うことで自然の恵みと調和し、人工と自然が“拮抗と融合”の美しいグラデーションを見せる。そういった住まいを作り続けたいと思っています。


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