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建築家

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竹城台のコートハウス

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作品詳細

一世代前にニュータウンとして開発された住宅地の一角に建つ平屋の家である。
この地は以前、竹林や城跡があった丘陵地がひな壇状に造成され、擁壁と塀や生垣、門扉で閉じた家並みが続いている。住人の高齢化にともない土地が細分化され、庭のない小さな箱状の家が建ち始めているといった環境であるが、敷地の西側には道路を挟んで緑豊かな丘や公園があり、その存在を拠り所にして、この場がより確かな居場所となるように計画を進めていった。西側の道路からは敷地が一段高くなっていて2階建ての家ではひときわ高く聳えるように見えるため、平屋の家とし、緑と一体となった豊かな環境をつくろうと思った。
敷地の中央部に中庭をつくり、北側に広間棟を、そして南側には子ども室棟を配し、中庭を中心としたコートハウスとしている。中庭には深い軒、そして広いウッドデッキを設け、夏の日射しを遮るとともに、子供たちにとっても雨天でも遊べる格好の場となっている。広間棟の屋根は登梁の下に化粧梁を、勾配を変えて取付けている。この化粧梁は屋根の剛性を高め、意匠だけでなく構造としての役割も担っている。また登梁と化粧梁の間は排気ダクトのスペースとして活用している。
ゆったりとした切妻天井、連続した化粧梁によって、広間は奥行と拡がりのある空間となっている。
南棟は一段高い南の隣家から中庭への視線を遮る所まで棟を高くしプライバシーを守っている。高くなった屋根裏は子ども室のロフトとしている。
素材はカリンやクルミ材、塗壁、そして木製サッシ、ガルバリウムの一文字葺きといった現代の素材も含めて、この場の風景にふさわしいもの、耐久性等、信頼のおけるものを慎重に選んでいる。中庭をはじめ数多くの庭をつくり、緑豊かな住まいを求めた。木々が成長し、庭の緑が公園へと続き、この場の豊かな環境をつくりだすことを願っている。

安原 三郎

安原三郎建築設計事務所
京都府
http://www.yasuharasaburo.com/

自然と対峙する
“自然との共生”や“ランドスケープの中で”といったテーマが叫ばれてから久しい。
もともと人々の生活は里山や田園にみられるように自然に対する本能的な恐れから雑草などと格闘しながら生活し続けてきました。
自然は人間にとって敵であったとも言えます。自然の恐ろしいパワーを考え合わせると、一度自然と正面から向き合うことが必要なのではないでしょうか。
そして“自然と対峙”することで初めて自然の恩恵を蒙ることができるのではないでしょうか。言いかえれば自然と人間が“拮抗と融合”の微妙なバランスをとることが最も大切なことだと思います。
豊かで自立した住空間を作り、そして自然と向き合うことで自然の恵みと調和し、人工と自然が“拮抗と融合”の美しいグラデーションを見せる。そういった住まいを作り続けたいと思っています。

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