作品詳細
斜面に寄り添うひな壇基礎
敷地は市内を見渡せる小山の中腹。斜面に合わせた、ひな壇状の断面形状を持つ「ひな壇基礎の家」である。
このひな壇基礎は斜面に沿う形で東から西へ80cmずつ下がる3段で構成した。そして、水廻りを含めた住宅の諸機能を配置した2階を東西へ各々1.8m張り出し、内外を繋ぐ中間領域とした。
東側の最上段は道路との緩衝空間となり、そして玄関ポーチや車寄せとなる。また、この段を内側へ90cm伸ばし、道路と同レベルのキッチンカウンター、子供たちの勉強するデスク、2階への階段の踊場とした。この段差と生活の方向によって、前面道路を散歩する近隣住民の視線に対してぶつかり合う訳でも閉じる訳でもない適切な関係をつくりたいと考えた。
西側の段は斜面の木々の間に飛び込む様に片持ちで張り出したテラスとして、木々の間を抜ける光や風が心地よい居場所をつくりたいと考えた。
そして、これらの中間領域に面して、全て壁に引き込むことができる様にした木製建具を設けた。東側は3.6m×2.2m、西側は5.4m×3.0mの大きな開口部である。
段差・ピロティ・木製建具によって内部・中間領域・ひな壇・斜面・樹木が渾然一体となった「ひな壇基礎の家」は、住宅というより地形となり、住人はその地形の中に棲むこととなる。
写真:千葉顕弥

井原 正揮 井原 佳代
株式会社ihrmk一級建築士事務所
東京都
HP:https://ihrmk.co.jp/
クライアントの考えや要望を丁寧に咀嚼・消化することで、様々な変化に耐え得る空間をつくること、それが建築家の最も重要な役割だと考えます。
本当に求めているものは何か、必要なものは何かを、お客様と私たちで見つけることができたら何よりの幸せです。
<経歴>
井原正揮
1980 福岡県北九州市生まれ・愛知県豊田市育ち
1998-2002 名古屋大学工学部社会環境工学科
2003-2006 東京工業大学大学院理工学研究科建築学専攻
2007-2014 シーラカンスアンドアソシエイツ
2015 ihrmk開設
2016 株式会社ihrmk設立
名古屋大学非常勤講師
2020- 駒沢女子大学非常勤講師
井原佳代
1979 東京都生まれ
1998-2002 神奈川大学工学部建築学科
2003-2004 キングストン大学大学院美術・デザイン・建築学部
2009-2016 シーラカンスアンドアソシエイツ(プレス)
2016 ihrmk参加
2017- 神奈川大学非常勤講師
2022- ICSカレッジオブアーツ非常勤講師
<受賞歴>
2015 「風景を通す家」Bronze A’ Design Award 2015
2018 「ひな壇基礎の家」リネアタラーラ オーダーキッチン グランプリSHOW 2018 グランプリ
2020 「はつせ三田」2020年度日本建築家協会優秀建築選100選
「はつせ三田」2020年度グッドデザイン賞
2021 「はつせ三田」東京建築士会住宅建築賞2021
「はつせ三田」令和3年度日事連建築賞小規模部門優秀賞
「はつせ三田」JID AWARD 2021 インテリアスペース部門入選
2022 「miike」第53回令和3年度中部建築賞一般部門B特別賞
「はつせ三田」第47回東京建築賞共同住宅部門最優秀賞
<掲載>
2014 「風景を通す家」新建築住宅特集2014年12月号掲載
2015 「風景を通す家」EDITION29 014掲載
「風景を通す家」Lives vol.82掲載
「風景を通す家」&home vol.46掲載
2016 「はなれのはなれ」Lives vol.86掲載
「はなれのはなれ」Inred 2016年8月号掲載
2017 「はなれのはなれ」新建築住宅特集2017年2月号掲載
2018 「ひな壇基礎の家」新建築住宅特集2018年5月号掲載
「はなれのはなれ」TOTO通信2018年新春号掲載
2020 「はつせ三田」新建築2020年2月号掲載
2021 「はつせ三田」 “Penshirubiru. Collective housing in Japan taken to its limit”, TC Cuadernos掲載
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