作品詳細
KOさんとの出会いは2010年3月中旬に諸塚村で行われた「森の感謝祭」です。毎年この月に行われており、私も第一回目から産直住宅の取組をパネル・模型等で紹介しています。私のコーナーに来ていただき、熱心にバネルを見ていただきました。村内の産直住宅の担当者からもお話を聞かれ、8月下旬に事務所にお見えになりました。その後、宮崎市内のUEK邸、HIG邸を見学していただき、10月から計画をスタートする事になりました。
敷地は高鍋町内、ご主人の実家に隣接した場所です。町内は現在道路の拡幅工事,それに伴う建物の建替え等が行われています。本来は県内でも歴史ある城下町の一つであり、高鍋城跡、家老屋敷黒木家住宅等整備されている場所はありますが、町中の建物はその姿を変えつつあります。時代とともに変化するのは、ある意味仕方のない事なのかもしれません。ただその地域の記憶や特性を抜きにした経済性優先の整備のやり方にはおおいに疑問を感じてしまいます。
KO邸の計画にあたって、敷地形状と要求される諸室内容により建物は総2階建とし、前面道路に面する北側に駐車スペースと駐輪場を設置し、外観としては屋根形状を平入とし、1階部分にも下屋を設置し、道路側壁面に町屋をイメージさせる面格子を町並みの記憶要素として1・2階共に設置する事にしました。
過去の様式を参考にする事には賛否両論あるかとは思いますが、建物が記憶の風景の一部としてとけ込んでくれる事と願っています。新たな時代に向かう時に、現状と前を見て進むのも一つの方法ですが、現状から以前の事柄を確認しながら前に進む事も大切だと思っています。
柴 睦巳
柴設計
宮崎県
HP: https://sites.google.com/view/architect-shiba/
宮崎県内を中心に自然乾燥木材を使った住まいを建築主ご家族と一緒に作っています。
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