作品詳細
NIさん夫妻との出会いは、旧住宅の雨漏りへの対応、そして住みづらくなった内部改装のお話があった2004年5月です。また奥さんとの出会いは私が10才の時までさかのぼってしまいます。最初は、屋根の全面葺き替え、そして内部も構造体だけを残しての全面的な改装を行うという事で話が進み、それに基づき図面を作成し、施工業者数社に見積をお願いしました。結果的には旧住宅を解体し、新たな家族構成を前提に建替えることとなりました。
当初3人家族であったのが、時間の経過の中で5人家族となり、また旧住宅を生かした改装を望まれていたご主人の気持ちに変化があったようで、孫が生まれ、将来の子供世帯との同居の可能性を考慮され、新たに建替える決心をされたようてす。家を作られるのは今回で数件目になるご主人、さぞや家づくりに関するこだわりが各所に出てくるのではと思いましたが、意外にほとんどのことを私にゆだねられました。ただし旧住宅の床柱(黒檀)、玄関ポーチの独立柱(榧の木)の再利用、そして木戸口の「むかえ松」を残すようにとのお話がありました。
2010年8月4日に施工者との工事請負契約を行い、旧住宅の解体後の8月26日に起工式を行いました。翌日の27日には諸塚村へ使用する木材の確認のため、NIさん夫妻と、現場監督、大工棟梁と一緒に出かけました。諸塚村では役場の担当者、木材加工場の工場長に対応していただき、倉庫に積まれた梁・桁・柱材を直に見ていただきました。その後工事も順調に進み、11月3日には上棟を行い、翌年4月末に予定より少し遅れての完成となりました。施工者よりの引渡が終了し、5月の連休明けより久富氏による作庭作業が本格的に始まり、梅雨明けの6月末に終了しました。
昨年(2010年)の3月5日に設計監理委託契約をお願いし、1年と3ヶ月後に植栽工事を含めてすべてが終了しました。旧住宅では室内と庭の直接的なつながりがありませんでした、今回広いウッドデッキを介して居間・台所と庭がつながっています。本日の午前中、所用で新居へお邪魔していたのですが、台所の広いテーブルに座りながらご家族との談笑のなか、何気に目線が庭の樹々に移ります。室内とデッキそして庭へと奥行きの深さを味わいながら気持ちの良い時間を過ごさせていただきました。
柴 睦巳
柴設計
宮崎県
HP: https://sites.google.com/view/architect-shiba/
宮崎県内を中心に自然乾燥木材を使った住まいを建築主ご家族と一緒に作っています。
♥お気に入り登録