作品詳細
<敷地環境>
敷地は船橋市の中心街から少し離れた、閑静な住宅地の一角。
北側道路以外の3方を住宅で囲まれているが、傾斜地でひな壇敷地の為、光や風を取り入れる環境としては比較的恵まれた敷地条件である。
<施主からの要望>
1.明るく開放的で、光や風を十分に取り入れた住まい。
2.周辺環境や地域との調和を図りつつ、居住者に生理的・心理的な快適さと、健康、安心を提供する居住計画・空間デザイン。
3.家族構成の将来的な変動に臨機応変に対応できるプラン。
4.都市生活において、家族間や近隣との豊かな人間関係を育むような住空間の新しい提案。
5.長期間の使用に耐える持続可能性を備え、建設時から運用、解体までのライフサイクルを通して環境負荷を低減するような、素材・工法の選択と使い方の工夫。
<設計コンセプト>
閑静な住宅地の中で、街の風景に溶け込むよう、外壁は南洋材の天然木貼りと漆喰塗りで構成させ、和の懐かしさを感じさせつつ、水平・垂直ラインを強調したシンプルなデザインとなっている。
内部は2層吹き抜けのエントランスホールを家の中心に配置し、取り囲むように各部屋を配置した。
吹き抜け周りの2階の壁をガラス建具にすることで、お互いの視線が交差しあい、空間の広がりを感じさせつつ、家族の気配が常に感じられる空間となることを意図した。
また、南面のハイサイドサッシからの自然光がリビングを通し、吹き抜け周りのガラス越しに北側1階の玄関まで入り込ませることで、光に満ちた明るいエントランスホールとなった。
断熱性能設計として、外通気工法を採用するとともに、断熱等級4(次世代省エネルギー基準)を確保し、かつ最上階の天井面は屋根面からの遮熱を考慮し、屋根面と天井裏の2重に断熱材を敷き詰めている。開口部のペアガラスと合わせ、高い断熱性能を実現している。
また、ガス式温水床暖房を採用することで、体に優しくあたたかな住環境となっている。
建物の長期的な持続性に関しては、「耐震等級3」※1とし構造設計を行っている。
また耐久性、メンテナンス性を考慮し劣化対策等級についても「等級3」を確保する仕様となっている。
※1 「耐震等級3」とは、数百年に一度発生する地震(東京では震度6強から震度7程度)の1.5倍の地震力に対して倒壊・崩壊せず、数十年に一度発生する地震(東京では震度5強程度)の1.5倍の地震力に対して損傷しない程度の強度
<施主の声>
漆喰と天然木を主体とした自然な外観により、周辺の住環境との調和を感じることが出来ていると思います。
内部は、玄関の大きな吹き抜けとリビングの高天井で常に開放感を感じながら暮らせるようになりました。
少し床を上げたキッチンを司令塔として、キッチン・ダイニング・リビングそして、その先の居室までが大きな一体空間として家族をはぐくんでくれており、設計の意図が十分に感じられ、素晴らしい空間となっています。
それなりに広いスペースでありながら、常にお互いを感じながら生活できる空間になっています。
当初は大手ハウスメーカーに設計・施工を依頼する計画もありましたが、度重なる細かい打ち合わせ、しっかりした現場管理、完成後の建物を実体験して、あらためて岩瀬アトリエさんに設計を依頼してよかったと思っています。
場所 :千葉県
構造 :木造
用途 :専用住宅
竣工 :2010年
竣工写真:撮影/北嶋俊治
岩瀬 行泰
岩瀬アトリエ建築設計事務所
埼玉県
HP:https://iwase-atelier.com/
本来、「建築」とは与えられた環境や敷地形状、クライアントの感性、ライフスタイルなどあらゆる要素の中から生まれてくるものであり、それゆえひとつとして同じスタイルの作品が存在するはずがないと考えます。「住宅」を例にした場合、そこに作り上げられる空間には快適性はもちろんのこと、光や風をいかに空間の中に取り入れ自然環境との共生をどう考えていくかをテーマに創りあげていきます。また、「アパートメント」や「オフィスビルディング」などの収益性を求められる場合には、優れたデザイン性により建物自体の資産価値を高め、高い収益性を長期にわたり安定して供給することを目的とし、作品を作り上げていきます。
「建築」にはそこに住まい生活する人の人生観を変えてしまうほどのエネルギーを持ちえると考えます。単なるモノづくりではなく、人と環境が調和し、時に風化しない普遍性を持ち、都市景観の創造に先導的な役割を果たす作品を一つ一つ丁寧に創りあげていく、「アトリエ」としての仕事にこだわり続けていきます。
私達は、皆様から設計料を頂いて設計活動を行います。「岩瀬アトリエ」では限られた予算の中で、より機能的で、かつ経済的な設計を行い、デザイン性のみならず使い勝手や品質等にこだわり、時間をかけた質の高い建築を目指しております。