o house/十五間の家 新潟県

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作品詳細

桃畑の一角に建つ、新潟市郊外の個人住宅である。
敷地は中之口川を背景とした古くからの農村集落と新潟県を横断する国道との間にあり、敷地前面は交通量の多い県道に接している。
生け垣に囲われた蔵や民家といった繊細ながらもゆったりとした農村環境と、国道沿線に並ぶ唐突で大振りな看板と建物。
桃の花や実が育つ四季と共にあるゆっくりとした時間と、国道と県道を駆け抜ける車の速度と音。
そういった、本来は距離を置きたい色々な環境が整理されずに近くにバラまかれたような場所に、夫婦と子供1人の3人が住む住宅を計画した。
複数の棟を生け垣で囲い込み1つの屋敷構えとしている周辺の農村集落の建物の建ち方を取り入れ、桃畑に茶室.ウォークインクローゼット.子供室を別棟として配置し
それにより、敷地を緩やかに囲い込むことで外部との関係を保ちつつ、適度な距離をとった中庭を計画した。3個の別棟に大きな2階のボリュームを載せ、それにより出来た隙間に茶室への露地や玄関土間.寝室.書斎といったスペースを、内外の環境が曖昧なままに配置している。
生活は、車が高速で走り抜けていく道路からシームレスに繋がりながらも、複数の閾により全く新しい環境を手に入れる事が出来ている。
玄関土間より上がる2階にはLDKとバスルームを配置。地上レベルではバラバラに見えていた色々な環境。
しかしながら2階レベルの南北に開けられた大開口から望む風景は決してバラバラではなく、走り抜けていく車も、国道沿線の大振りな看板も、菊畑も桃畑も一つながりの地面として、また遠く過去から続く一つながりの時間として、空までつながる決して切り離す事の出来ない一つながりの風景として見えてくる。
見え方や距離感をきちんとデザインし地域環境を取り込み、バラバラであった環境を再構築(=編集)することで、変化や発見といった動きある生の美しい生活が生まれると考えている。
地域との接点となる外壁にもこの地域の環境を取り込みたいと考えた。焼杉板を縦張りとし、目地に押縁を付ける。焼杉板は幅の異なる4種類の板を規則的に張付け、そして目地には厚さの異なる3種類の押縁を規則的に取り付けた。それにより出来る外壁のランダムに見える凹凸は陽射しを受けて刻々と変化する陰影を生み、また冬には焼杉の凹凸に雪が吹き付き、雪の白と焼杉の黒が豊かな文様を描き出している。前面の県道は近くの小学校に通う子供達の通学路となっており、朝と夕方で異なる表情をみせるこの壁を、子供達は今日も指差し押縁の数を数えている。
地域の環境を取り込み編集し再び地域に還す。それにより地域に新たなコミュニケーションやアクティビティと共に新たな環境が生まれる。
そのような建物の在り方が目指されている。

竣工  :2012.10
種別  :新築
用途  :住宅
規模  :154.5㎡
構造  :木造
所在  :新潟市南区
設計  :東海林健建築設計事務所
構造設計:M’S構造設計(担当 佐藤)
照明設計:稲葉 裕(FOR LIGHTS)
施工  :涌井建設(担当 涌井)
撮影  :©村井 勇

東海林 健

株式会社 東海林健 建築設計事務所
新潟県
HP:https://takerushoji.jp/

住宅、商業空間、公共空間と求められる機能が変わっても、その要望を解き答えるだけではなく、その空間に居る事自体が快適であること。
また建物を外から眺める事自体が快適であること。
新しい建物が建つ事で建物の所有者や使用者はもちろん、近隣の人やたまたま通った人にまでも豊かな気分や固有の価値体験を提供できたらと考えています。
結局作るのは何であれ、開かれた環境を目指しているのではないでしょうか。
単にそれは大きく開放されたという意味ではなく、人間と釣合いの取れた、更には生き物として快適な場所や時間ということだと思います。
機能的とか便利とかとはちょっと違う。
すごくそれはボンヤリとしたものではありますが、私達にとってはそのボンヤリが現在のデザインの対象であると考えています。

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