作品詳細
高松の市街地に敷地を持つこの建築は、ご夫婦+お子様1人の住宅です。
建築主からは、敷地をできるだけ広く使う、中庭を設けてプライバシーを確保する、 車を見ながら過ごせるガレージハウスとしたい、木材などの素材感は消したい、 鉄筋コンクリート(RC)造とする、といったご要望がありました。
そこで、日常生活を送るLDKを敷地中心に配置し、そこから敷地全体に空間が広がるというコンセプトから空間を検討しました。
建物は、敷地全体を囲う四周の外壁とその内側四隅の中庭となる外部吹き抜け、および中央の内部吹き抜けから構成されます。 四隅と中央の吹き抜けが内部空間に光を明るく均等にもたらします。 これによりLDKは1階にありながらも広がりや明るさを感じることができます。 また、外部空間を四隅の吹き抜けという形で建物の内側に取り込むことで、 プライバシーを確保しつつ外部空間とのつながり・広がりを感じられる空間を実現しています。
また、シンプルな空間を実現するため、柱を建物中央の4本に集約しています。
1階、2階の床と壁、および屋根はこの4本の柱から水平方向に持ち出した梁で支えられています。 これにより、1階および2階の壁はそれぞれ2階および屋根の荷重を支える必要がなくなり、 360度どこからでも光が入ってくる細長いスリット窓が設置することが可能となりました。
その結果、外部への視線の抜けも獲得でき、さらなる広がりとプライバシーを両立させた建築を実現できました。
用途:専用住宅
家族構成:夫婦+子供1人
場所:香川県
敷地面積:229.74m²(69.50坪)
建築面積:131.68m²(39.83坪)
延床面積:203.90m²(61.68坪)
構造:RC造
階数:地上2階
竣工年:2019年
写真撮影:平桂弥(studioREM)
藤原 慎太郎 / 室 喜夫
藤原・室建築設計事務所
大阪府
https://aplan.jp/
建築は空間を、空間は景色を。
景色は体験と記憶を。建築に完成はあっても、空間に完成はありません。
空間が見せる景色は、人、時間、自然によって移ろい、決して完成することはないのに、一瞬一瞬の体験と記憶のなかで完成しています。