作品詳細
TA邸の敷地は宮崎市内を大きく蛇行しながら流れる大淀川の西側に位置する。昭和50年に丘陵地を開発した住宅団地内のほぼ中央にある。
敷地は道路に面して16m奥行きが15mで面積が240㎡(72.6坪)となっている。東西方向の隣地との段差がそれぞれ1mほどある。
前面道路となる南側市道は幅員6mあり、団地内生活道路としては十分な広さが確保されているが、東方面へ下る坂道となっている。道路に面する駐車スペースが1台あり、玄関へのアプローチには60cmの段差がある。昭和50年当時、一家に1台の車が一般的であった頃の標準仕様と思われる。
既存住宅団地内の建替えの場合、駐車場計画は全体に大きな影響を与える。TA邸では夫妻用そして来客用スペースが前提となる。また前面道路が坂道となっているため、接道部分の擁壁、玄関アプローチ、駐車スペース等に配慮が必要となる。
建物は第1種住居専用地域内の厳しい建坪率(40%)から建物は2階建とし北側隣地境界に建築基準法ぎりぎりに寄せる。道路に面しほぼ中央に一台分の掘込み駐車スペースを確保し、敷地との道路との段差の少ない西側に玄関へのアプローチ(斜路)を兼ねて、他駐車スペースを確保する。
玄関へのアプローチはそのままピロティーにつながり、ピロティー西側に屋外物置・給湯器スペースを、東側に玄関ポーチを設け玄関に入る。ピロティー北側には北側隣地手前に植栽によるアイストップを設け、玄関手前東側には庭へとつながる木戸口を設置し、軒下を利用した駐輪場を設ける。
建物は1階に玄関、玄関物置、クローゼット、便所、和室、趣味の部屋ともなる納戸を設け、2階に居間、食堂、台所、洗面脱衣、浴室、子供室、洗濯室、そして南側全面にバルコニーを設ける。
1階に日常スペースを配置することは可能ではあるが、駐車スペース3台分確保を前提とすると庭のスペースが極端に狭くなる。
2階からだと南東方向に大淀川両岸の風景が望め、夏恒例の大淀川花火大会の打上げ花火が見えること、1階は駐車スペース及び玄関アプローチ等の関係で日常生活が落着のないものとしてしまう可能性があることなどから、上階に居間・食堂等の日常生活スペースがあった方が落着いて生活できるとの要望がある。
2階に日常生活スペースを持ってきた住宅は今までに数件作っている。それぞれの敷地条件と生活スタイルを考慮した結果である。今回も階段の作り方、2階レベルでの外部に対して開放性を考慮する事で対応する。
柴 睦巳
柴設計
宮崎県
HP:
宮崎県内を中心に自然乾燥木材を使った住まいを建築主ご家族と一緒に作っています。
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