作品詳細
豊橋市中心部にある吉田城は、惣構えを備える日本有数規模の名城です。その外堀に並行して旧東海道が通っていて、その曲尺手(城下街特有の直角クランク)あたりの市街地に「中世古の家」は建っています。
「中世古の家」は、間口6m弱の南北に細長い敷地での建て替えプロジェクト。25坪の敷地に必要諸室、家族それそれの部屋、それに加えて駐車スペースが必要です。
構造的に偏りのあるこの3階建ての建物を在来工法で設計するには難があります。だからといって鉄骨造にすると大幅にコストアップしてしまいます。そこでSE構法を採用することで構造的な問題をコスパ高い方法で解決。駐車スペースを開放的なピロティ空間とすることを可能としました。
ファサードデザインは、バルコニー部分をくり抜くことで表れる影を“能面に穿つ孔”をイメージして設計しました。簡単に言えば「壁面と影」のみの構成です。シンプルな構成に余分な斜めのラインは見せたくありません。破風は外壁と別のパーツとすることが一般的ですが、破風の斜めラインを消すべく破風と外壁を一体のディテールとしています。
ガルバ外壁のシャープな印象のこの建物の、玄関まわりを情緒的な素材とデザインにすることによって人の暮らす家に相応しい趣のある建築になっています。
原田 久
Dikta Architects office 一級建築士事務所
愛知県
https://dikta.jp/
愛知県豊川市の設計事務所です。
クライアントの想いを大切に、丁寧な家づくりを心がけています。